改訂新版 世界大百科事典 「議政王大臣」の意味・わかりやすい解説
議政王大臣 (ぎせいおうだいじん)
Yì zhèng wáng dà chén
中国,清代初期の最高国政合議機関。議政王と議政大臣を総称して議政王大臣という。建国当初の清朝は満州族固有の諸制度を色濃く残していたが,この合議機関の存在もそのひとつであった。議政王には有力な皇族が任命された。議政大臣は専任の官ではなく,おもに八旗の高級武官が兼任の形で任命された。そのほとんどが満州八旗人であり,蒙古八旗人や漢軍八旗人の任命は若干あったにすぎない。議政王大臣の任務は重要政務全般,特に軍事関係事項の審議であったが,決定権はあくまでも皇帝にあった。清朝が明の制度を継承して中国式の官僚国家として整備されるにつれ,議政王大臣の権限はしだいに弱まっていく。まず内閣が一般政務の最高機関となり,ついで軍機処が重要政務の最高機関となった。こうして有名無実化した議政王大臣の制度は乾隆末に廃止された。
執筆者:井上 裕正
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