デジタル大辞泉
「譲」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
ゆず・る ゆづる【譲】
〘他ラ五(四)〙
① 自分の所有する物を他に与える。物、権利、
地位などをそっくりそのまま他の人に授け与える。譲渡する。譲与する。
※仏足石歌(753頃)「
釈迦の御足跡石に写し置き敬ひて後の仏に由豆利
(ユヅリ)まつらむ捧げまうさむ」
② 他の人にゆだねる。まかせる。
※
蜻蛉(974頃)中「ゆづりおきてなど、思ひたまへつるもしるく」
③ 他の人におしつける。責任などを転嫁する。
※栄花(1028‐92頃)殿上の
花見「宮は、二の宮をすさまじと人の思申たりしも心苦しくて、人知れずゆづる方なくて、あはれと思きこえさせ給へり」
④ 自分を後にして他を先にする。譲歩する。
※新訳華厳経音義私記(794)「謙 訓由豆流(ユヅル)」
※二人だけの旅(1970)〈
津村節子〉「どうしても直さなければ気がすまないと譲らない」
⑤ 辞退して、他の人がそれに代わるようにする。
※
源氏(1001‐14頃)竹河「内より、和琴さし出でたり。かたみにゆづりて、手触れぬに」
⑥ (相手に劣って、今まで占めていた地位を、その人にあけ渡す意から) ひけをとる。
※
当世書生気質(1885‐86)〈
坪内逍遙〉八「此一団が八百松の楼に登りて、いかなる面白き
物語や生ずる。そは数丁の後にゆづりて、しばらく
楼上の話にうつらん」
ゆずり ゆづり【譲】
〘名〙 (動詞「ゆずる(譲)」の
連用形の
名詞化) 譲ること。また、譲り受けること。また、そのもの。譲渡。譲与。
※大唐西域記巻十二平安中期点(950頃)「五印度の国の咸く推(ユツ)り高く」
※高野本平家(13C前)一「
主上は
二歳にて御禅
(ユヅリ)をうけさせ給ひ」
ゆずろ・う ゆづろふ【譲】
〘他ハ下二〙 互いに譲る。譲り合う。
※源氏(1001‐14頃)
帚木「上は下に助けられ、下は上に靡きて、事、広きにゆづろふらん」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報