貧窮問答歌(読み)ヒンキュウモンドウカ

デジタル大辞泉 「貧窮問答歌」の意味・読み・例文・類語

ひんきゅうもんどうか〔ヒンキユウモンダフカ〕【貧窮問答歌】

万葉集巻5にある山上憶良長歌。貧しい生活の苦しさを問答形式で歌った長歌および反歌1首。

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精選版 日本国語大辞典 「貧窮問答歌」の意味・読み・例文・類語

ひんきゅうもんどうか‥モンダフカ【貧窮問答歌】

  1. 万葉集巻五にある山上憶良作の歌。貧者が問い、窮者が答える形で生活の苦しさを訴えた長歌。反歌一首を添える。

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百科事典マイペディア 「貧窮問答歌」の意味・わかりやすい解説

貧窮問答歌【びんぐうもんどうのうた】

万葉歌人山上憶良代表作の一つ。長歌短歌から成る(《万葉集》巻5)。721年の作。憶良の自画像と目される人物極貧農民が〈問答〉する形式を取り,平易な日常語を使用して貧窮困苦の実情を,また世の非道を描く。時世への批判をこめたその作風は,仏教を主体的に受容し,儒教倫理を身につけた官人・知識人ならではのものと解される。

貧窮問答歌【ひんきゅうもんどうか】

貧窮問答歌(びんぐうもんどうのうた)

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「貧窮問答歌」の解説

貧窮問答歌
ひんきゅうもんどうか

山上憶良(やまのうえのおくら)作の長歌およびその反歌。「万葉集」巻5所収。憶良晩年の731~733年(天平3~5)頃の成立か。粗末な廬(いお),すなわち竪穴住居に住む貧しい農民の姿と,苛酷な徴税を行う里長(りちょう)のようすをうたったものとして知られる。筑前守として憶良が実際に見聞した農民の姿を描いたというよりは,遣唐使時代などに学んだ中国詩文の影響を強くうけて作られたものとする見方が有力である。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「貧窮問答歌」の意味・わかりやすい解説

貧窮問答歌
ひんきゅうもんどうか

『万葉集』巻五所収の長歌と反歌1首。奈良時代初期の歌人山上憶良作。貧しい者とそれよりもさらに貧しい者とが,貧乏生活を問答の形で述べ合ったもの。そこに示された貧窮の様相は写実的で,班田制下の農民の姿を余すところなく伝えている。

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旺文社日本史事典 三訂版 「貧窮問答歌」の解説

貧窮問答歌
ひんきゅうもんどうか

奈良時代,『万葉集』巻5にある山上憶良 (やまのうえのおくら) の歌
筑前守として在任していた731年ころの作で,長歌・短歌おのおの一首ずつからなる。当時の律令体制下の公民の貧しさをリアルに表現した異色の和歌

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世界大百科事典(旧版)内の貧窮問答歌の言及

【山上憶良】より

…そのスタイルによって造型される形象がまた宮廷風な美とは異なり,逆説的な美を指向するものであって,貧窮や老醜の無惨,死児哀傷の惑乱,愛別離の悲哀など前後に比類のない感動的なイメージを歌い上げている。〈わくらばに人とは在るを 人並に我もなれるを〉(〈貧窮問答歌〉)という訴えは,おそらく《涅槃経(ねはんぎよう)》にいわゆる六難値遇(ろくなんちぐ)の〈人身は得難く,諸根は具し難し〉を踏まえたもので,そこには,人間としてこの世に生きて在ることの,王侯巨富と貧窮のわかちもない尊貴と平等の主張があると認められ,倫理思想史上にも注目すべきものがあると思われる。〈銀(しろかね)も金(くがね)も玉も何せむにまされる宝子に及(し)かめやも〉〈世間(よのなか)を憂しと恥(やさ)しと思へども飛び立ちかねつ鳥にしあらねば〉(巻五)。…

※「貧窮問答歌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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