日本大百科全書(ニッポニカ) 「賦役令」の意味・わかりやすい解説
賦役令(ぶやくりょう)
ぶやくりょう
中国・日本の令の篇目(へんもく)。7~8世紀の唐の賦役令は『唐令拾遺(とうれいしゅうい)』により逸文が集成されている。日本の賦役令は唐の賦役令を継受したもので、大宝(たいほう)令(701年施行)が逸文で知られ、養老(ようろう)令(720年前後編纂(へんさん)、757年施行)は注釈書の『令義解(りょうのぎげ)』『令集解(しゅうげ)』により全文が伝存する。養老令では第10編で39条。賦は調(ちょう)・庸(よう)などの物納租税、役は歳役・雑徭(ぞうよう)・雇役(こえき)・仕丁(しちょう)などの力役の義。(1)調・庸(歳役の代納物)などの成年男子を中心とした租税や義倉(ぎそう)・封戸(ふこ)の賦課物、賦課基準、徴収方法の規定(1~10条)、(2)租税の減免規定(11~21条)、(3)雇役などにより徴発される丁匠(ちょうしょう)(丁は一般労働、匠は技術労働にそれぞれ従事)の差発・使役方法(22~34条)、(4)その他(35~39条)からなる。本令は古代社会の経済構造分析の手掛りとして重要。
[石上英一]
『井上光貞他編『律令』(1976・岩波書店)』▽『仁井田陞著『唐令拾遺』(1933・東方文化学院/復刻版・1964、83・東京大学出版会)』