日本大百科全書(ニッポニカ) 「購買管理」の意味・わかりやすい解説
購買管理
こうばいかんり
企業がその生産活動に必要とする原材料、部品、工具、その他の資材を、必要な時期に必要な数量だけ、経済的かつ能率的に購買するために行う体系的施策をいう。広義には、生産活動に必要な設備・機械等の大規模・固定的生産手段の購入・調達をも含めることもあるが、一般には、上述のような流動的生産資材の購買に限定している。
購買管理の内容は、購買計画、購買組織、購買統制の三つの領域からなっている。購買計画とは、製品の設計図、仕様書、生産計画などを素材にして必要生産資材を洗い出し、在庫計画と調整のうえ、購買の品目、時期、購入先を予定することである。これには、購買市場の実態、とくに価格の分析(原価分析)と価値分析(value analysis, VA)が不可欠である。VAは、必要な機能を最低のコストで得るため、機能とコストのつり合いを研究し、設計や仕様の変更、代替品の検討、製造方法や購入先の吟味などを組織的に行う管理手法である。
次に購買管理では、購買組織について、集中購買組織をとるか分散購買組織をとるかが重要な課題となる。前者は、本社に購買専門の担当組織を設けて各事業所の必要生産資材をすべてここで購入するような方法であり、後者は、事業所などがそれぞれ所要生産資材を購入する方法である。購買統制は、適正在庫の維持に関する在庫管理と、購買予算の差異分析を通じて購買活動の効率を高めることを主内容とする。
[森本三男]