在庫管理(読み)ざいこかんり(英語表記)inventory control

精選版 日本国語大辞典 「在庫管理」の意味・読み・例文・類語

ざいこ‐かんり ‥クヮンリ【在庫管理】

〘名〙 倉庫などにある品物の量、質などを適正に保つこと。多く、数理的に行なわれる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「在庫管理」の意味・読み・例文・類語

ざいこ‐かんり〔‐クワンリ〕【在庫管理】

原材料仕掛品製品などについて、技術的および経済的に的確な時期に適正な量を発注・補充し、最善の保管と搬出入を計画・組織・統制する方式の体系。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「在庫管理」の意味・わかりやすい解説

在庫管理 (ざいこかんり)
inventory control

企業活動において保管を必要とする物品(在庫品)の数量的・時間的計画と統制および在庫品の受入れ・払出し・保管・点検・事務処理などの一連の作業・手続活動をいう。在庫品とは資材・副資材・部品・完成製品・仕掛品・商品すべてを指すが,資材についてはとくに資材管理として商品・部品・製品・仕掛品の在庫管理と区別することもある。これらの在庫品の品目や品目別数量は企業活動に伴ってつねに変動する。在庫品の機能は,製品・商品では即納可能による需要変動への対応,顧客サービス水準の向上および生産工程の事故による欠品対策,原材料・部品・仕掛品・商品では生産工程の事故・遅延,納品遅れを防止し,安定した生産流通を可能にするバッファー機能である。これを企業活動の変動局所化機能という。この機能により生産-流通の全過程を総合的に計画・統制することなく,資材・生産(加工)・仕入れ・販売などの独立局所化された計画・統制により運営することが可能になる。さらに,在庫品をもつことにより,資材の一括大量購入により安価な仕入れが可能となる。一方,在庫品自体は企業経営上,資産であり,在庫期間中の利子・保管費・価格変動や品質劣化・陳腐化の危険性,資金の固定による資金繰りの問題など極力在庫水準を引き下げる必要もある。この得失2面を勘案した管理方式が在庫管理の要点となる。最適在庫量の発見が在庫管理の一つの重要な課題といわれるゆえんである。

 在庫管理は第1次大戦後の大恐慌時にアメリカで発展し,第2次大戦の戦中から戦後にかけて,主としてアメリカ軍の軍需資材の管理のためオペレーションズリサーチOR)の手法が導入され,実用化されるに至った。線形計画法をはじめとする数理計画法や統計的手法も応用されている。また組立型製造業では,部品在庫量を極小化する部品の定時定点納入をもとに,かんばん方式といわれる生産管理方式がトヨタ自動車で開発され,トヨタ系企業をはじめとして,それ以外にも普及したが,これも部品在庫量を最小化する管理方式の一種である。
生産管理
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「在庫管理」の意味・わかりやすい解説

在庫管理
ざいこかんり
inventory control

企業が、量、質、タイミング、場所の諸条件について、適正な在庫を保持するために実施する諸策の体系をいう。在庫とは、広義には企業内にある物品をいうが、狭義には設備機械のような固定的物品を除き、短期に回転流動する物品のみをさす。在庫管理という場合には、狭義の物品を対象にするのが普通で、それは、原材料、半製品(仕掛品)、製品に3大別される。適正(な在庫)とは、前述の諸条件からみて経営活動の効率を最大にする状態をいう。

 在庫管理には、相互補完する二つの管理体系がある。第一は、実物としての在庫を適正に保持する諸策の集合であり、これを実体的在庫管理という。第二は、価値ないし投下資本の化体物としての在庫を適正に保持する諸策の集合であり、これを価値・計数的在庫管理という。

 実体的在庫管理は、購買、保管、運搬と深く関係し、とくに保管とは実質的に同次元になる。すなわち、実体的在庫管理では、なるべく少ない保管場所(倉庫等)に、在庫が変形、変質、減耗しないような施設を設け、必要なときに最小限の時間で出し入れできるような方法で保管するとともに、それに相前後する購買と運搬についても、在庫品に適合した処理material handlingができる方策を講じなければならない。実体的在庫管理の基準は、対象となる在庫品の物的特性に対応した技術に求められる。

 これに対して、価値・計数的在庫管理では、経済的にみた適正在庫量の維持が最大の問題になる。過大在庫は製造・販売活動にとっては好都合であるが、資本回転率を低下させ、収益性を圧迫する。過小在庫は逆の効果をもたらす。両者の中間にある、製造・販売と財務を均衡させる適正在庫の設定が在庫管理の中心的課題となるとともに、その水準維持に努めることが要求される。これに関連して、発注の経済性(経済的発注ロットなど)や在庫品管理の経済性(ABC分析など)も問題にされる。

[森本三男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「在庫管理」の意味・わかりやすい解説

在庫管理【ざいこかんり】

企業が製品・仕掛品・原材料を保管し,数量的・時間的に計画・統制する活動。原材料管理と商品管理とがある。商店では後者しかない。在庫品の滅失,品質の低下を防ぎ,経営活動に支障ないだけの十分な量を確保し,かつ費用を最小にすることがねらいである。バリューアナリシス(価値分析)やオペレーションズリサーチの手法も用いられる。
→関連項目かんばん方式POS

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「在庫管理」の意味・わかりやすい解説

在庫管理
ざいこかんり
inventory control

原材料,仕掛品,製品などの形で企業内に存在する在庫の最適量を保持するために,計画し組織統制する機能。在庫管理は,(1) 得意先に品切れなどの迷惑をかけない,(2) 生産活動の安定化,(3) 在庫投資の最小適正化といった相互矛盾要因を同時並行的に解決する必要がある。これらを総合的に扱う在庫理論に基づき,在庫品目の分析,在庫量の把握と統制,最適発注量,最適発注点の管理などを行うのが在庫管理システムである。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android