賽河原(読み)さいのかわら

精選版 日本国語大辞典 「賽河原」の意味・読み・例文・類語

さい‐の‐かわら‥かはら【賽河原】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 子どもが死んでから行くといわれている、冥途(めいど)にある河原。子どもの亡者(もうじゃ)はここで恋しい父母のために小石を積んで塔を作ろうとするが、何度作っても鬼が来てすぐこれをくずしてしまう。そこへ地蔵菩薩が現われて子どもを救うという。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「さいの川原の子どもに、手向(たむく)とや」(出典仮名草子東海道名所記(1659‐61頃)六)
  3. 無駄な努力のたとえ。「賽の河原の石積み
  4. ( 男女とも結婚しないうちは子どもの仲間として、死ねば賽の河原にやられるという俗信から ) 独身者。
    1. [初出の実例]「百人に一人はさいのかわらなり」(出典:雑俳・柳多留‐三一(1805))

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「賽河原」の意味・わかりやすい解説

賽河原
さいのかわら

日本の中世以降の俗信で,三途 (さんず) の川の河原とされるところ。西院の河原,または斎院の河原ともいう。小児の亡者が,ここで石を積んで父母の供養のため塔を造ろうとするが,大鬼が来てそれをくずし,小児を苦しめる。しかし最後には地蔵菩薩が現れて小児を救うと伝えられる。地蔵菩薩信仰が生んだ俗信と思われる。

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