越喜来村(読み)おきらいむら

日本歴史地名大系 「越喜来村」の解説

越喜来村
おきらいむら

[現在地名]三陸町越喜来

綾里りようり村の北にある。東は越喜来湾に面し、北は吉浜よしはま村。山嶺が海岸に迫り、西方から流れる浦浜うらはま川下流に沿って平地がわずかに開ける。西方立根たつこん(現大船渡市)より東進してきた浜街道は、村境銚子の口ちょうしのくちを越えて小出こいで河内かうち一里塚に達し、さらに北東へ進んで吉浜村へ向かう。河内の一里塚は二基とも現存する。村名は昔は越鬼来おきらいと記し、坂上田村麻呂が鬼を追越して来たゆえかと伝えられる(宝暦一一年「気仙風土草」)。観応三年(一三五二)四月二八日の吉良貞経軍勢催促状(盛多田文書)に「気仙郡木間崎向城事」とみえ、敗れた南朝方の軍勢の一部が籠る同城への発向が多田三郎左衛門に命じられている。この木間きま崎は越喜来湾に臨む鬼間きまヶ崎に比定される。慶長一六年(一六一一)一〇月二八日セバスチャン・ビスカイノ一行は当村で津波に遭遇、「我等は越喜来Oquirayの村に着きたり。又一の入江を有すれども用をなさず。此処に着く前住民は男も又女も村を捨て山に逃げ行くを見たり。(中略)忽ち其原因は此地に於て一時間継続せし大地震の為め海水は一ピカ余の高さをなして其堺を超え、異常なる力を以て流出し、村を浸し、家及び藁の山は水上を流れ、甚しき混乱を生じたり。海水は此間に三回進退し、土人は其財産を救ふ能はず、又多数の人命を失ひたり」と記している(金銀島探検報告)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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