路考茶(読み)ロコウチャ

デジタル大辞泉 「路考茶」の意味・読み・例文・類語

ろこう‐ちゃ〔ロカウ‐〕【路考茶】

染め色の名。暗い黄みを帯びた茶色。江戸中期、歌舞伎俳優2世瀬川菊之丞(俳名路考)が好んだところから流行したという。

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精選版 日本国語大辞典 「路考茶」の意味・読み・例文・類語

ろこう‐ちゃ ロカウ‥【路考茶】

〘名〙 染色一種歌舞伎役者、二世瀬川路考が明和三年(一七六六)、八百屋お七狂言で、下女お杉の役で着た衣裳の染色から流行した、しぶい色の茶染め。路考。
※談義本・根無草(1763‐69)後「帽子に瀬川の名目あれば、染物に路考茶あり」

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色名がわかる辞典 「路考茶」の解説

ろこうちゃ【路考茶】

色名の一つ。江戸歌舞伎最高の女形と評された二代目瀬川菊之丞が好んで用いた茶色のこと。菊之丞の俳名が「路考」であることから、この名がついた。ややくすんだ渋みのある茶色。江戸時代の女性たちの間で流行した。狂言『八百屋お七』の下女お杉の役で着た衣装の色として知られる。瀬川菊之丞の屋号浜村屋。江戸時代の役者色としては、ほか芝翫茶しかんちゃ団十郎茶梅幸ばいこう有名

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世界大百科事典(旧版)内の路考茶の言及

【歌舞伎】より

… その種類が多様で,広範囲にわたって流行し,かつ次から次へと新しいものが生み出されながら,それぞれが長期間にわたってもてはやされたのは,衣裳の色と模様であった。中期における人気若女方2世瀬川菊之丞の〈路考茶〉,立役の初世尾上菊五郎の〈梅幸茶〉は,江戸中期の通(つう)の美意識にかなう渋い中に色気の漂う色彩であり,春信や清長の描いた美人画の中によく登場している。時代が下り,3世中村歌右衛門の〈芝翫(しかん)茶〉,初世嵐璃寛の〈璃寛茶〉は,この上方の2名優のひいきが対抗して争ったことから,非常な流行を示した。…

※「路考茶」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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