(読み)フク

精選版 日本国語大辞典 「輻」の意味・読み・例文・類語

や【輻】

  1. 〘 名詞 〙 車輪の部分の名。車軸から放射状に出て車輪を支えている多数の棒。やぼね。〔新訳華厳経音義私記(794)〕
    1. [初出の実例]「はしりぐるまのわには、うすずみにぬらせたまひて、〈略〉やなどのしるしには、すみをにほはさせ給へりし」(出典:大鏡(12C前)三)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「輻」の読み・字形・画数・意味


16画

[字音] フク
[字訓] くるまや

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(ふく)。〔説文〕十四上に「輪(りんれう)なり」、次条に「は蓋弓なり。一に曰く、輻なり」とあり、車輪の中の矢をいう。〔周礼考工記人(ちゆうじん)〕に「輪の輻三十、以て日に象る」とあり、放射状の輻によって車輪を支える。車轂(しやこく)のところにそれが集中するので、四方から物資などが集まることを輻湊(ふくそう)という。

[訓義]
1. くるまや。
2. あつまる。

[古辞書の訓]
和名抄〕輻 夜(や) 〔名義抄〕輻 ヤ・ヤア・トコシバリ・クルマノヤ・アツマル・クサビ 〔立〕輻 ヤカタ・クサビ・クルマヤ・ヤ・アツマル・クルマ・ツドフ・ツツム

[熟語]
輻解輻至輻射輻集・輻湊輻輳
[下接語]
員輻・車輻・揉輻・折輻・説輻・伐輻・両輻・輪輻

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【車】より

… 中実車輪は,堅固だったから荷物運搬用に長く使用された。しかし軽くてスピードや機動性を発揮させる必要から,前2000年ころからスポーク(輻(や))のある車輪がオリエント全体にわたって製作されるようになったらしい。このスポーク車輪は,少なくとも車軸の穴のついた轂,スポークのための軸受,4本または6本,8本などのスポーク,それに輪縁とからなっていた。…

※「輻」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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