迹門(読み)しゃくもん

精選版 日本国語大辞典 「迹門」の意味・読み・例文・類語

しゃく‐もん【迹門】

〘名〙 (「迹」は垂迹(すいじゃく)で、久遠本仏から垂迹した仏の意) 仏語。一般に「法華経」八巻二八品のうちの、前半四巻一四品(序品から安楽行品まで)の称で、後半本門とする。釈迦が「法華経」以前に説いた教えはすべて方便と示し、迹門において、すべてが成仏できるとする一乗真実を明らかにする部分。
※三十四箇事書(1200頃か)「問、本迹二門三諦同異如何。答、迹門三諦云理三諦、本門三諦云事三諦也」
※日蓮遺文‐開目抄(1272)「此法門は迹門と爾前(にぜん)と相対して爾前の強きやうにをぼゆ」 〔法華文句‐一・上〕

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デジタル大辞泉 「迹門」の意味・読み・例文・類語

しゃく‐もん【×迹門】

天台宗で、法華経28品のうち、序品じょぼんから安楽行品までの前半14品の称。→本門

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「迹門」の意味・わかりやすい解説

迹門
しゃくもん

本門の対。仏教の教えは,人々の能力場所,時などの変化に応じて種々に説かれ,それぞれ存在意義をもつ。それは,単にこの世に現れた仏陀が説いたのではなくて,永遠の昔に悟った仏陀の本体があり,それは絶対の永遠不滅の真理であって,それが説いたものにほかならない。その本体を示す側面を本門というのに対し,人々を救済するために手段として身を現して種々の教えを説いた側面を迹門という。

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世界大百科事典(旧版)内の迹門の言及

【一致勝劣】より

…本迹(ほんじやく)一致と本迹勝劣を省略した語。《法華経》を解釈するにあたり,前半の14品(14章の意味)を迹門(しやくもん)とよび,後半の14品を本門とし,両門の関係が論じられた。日蓮は《法華経》をもって末代(末法)への教主釈尊の救いとし,天台宗が伝統的に迹門本門を一体とする解釈を批判して,本門によってこそ《法華経》の救いが保証されるとした。…

※「迹門」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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