過る(読み)ヨギル

デジタル大辞泉 「過る」の意味・読み・例文・類語

よぎ・る【過る】

[動ラ五(四)]
前を横切る。通りすぎる。「目の前を黒い影が―・る」「不安が心を―・る」「思い出が一瞬頭を―・る」
途中で立ち寄る。
「―・りおはしましけるよし、ただいまなむ人申すに」〈若紫
避ける。よける。
「商人旅人も道を―・る」〈浄・手習鑑
[類語]ちらつくかするかすめる通る通過する経由する経る通り過ぎる過ぎる横切る通り抜ける

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「過る」の意味・読み・例文・類語

よぎ・る【過】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙 ( 古くは「よきる」 )
    1. 前を通りすぎる。通過する。通りこす。
      1. [初出の実例]「空沢の中の深く険しき処に過(ヨキリ)ぬ」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)九)
      2. 「降りる駅を間違えたのではないかという不安が私の心をよぎった」(出典:カールスバートにて(1967)〈柏原兵三〉)
    2. 通りすがりに立ち寄る。
      1. [初出の実例]「行きて吉備国に至て家に過(ヨきル)」(出典:日本書紀(720)雄略二三年八月(前田本訓))
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙
    1. さえぎる。
      1. [初出の実例]「自国他国の兵共、道を塞ぎ前を要(ヨギッ)て、此(ここ)に待彼(かしこ)に来り討んとす」(出典:太平記(14C後)二一)
    2. よける。避ける。
      1. [初出の実例]「商人旅人も道をよぎる」(出典:浄瑠璃・菅原伝授手習鑑(1746)三)

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