吉備国(読み)きびのくに

日本大百科全書(ニッポニカ) 「吉備国」の意味・わかりやすい解説

吉備国
きびのくに

岡山県と広島県東部を含む古代国名。古代では近畿と並ぶ先進地帯であり、古墳時代には墳丘長約350メートルで全国第4位の造山(つくりやま)古墳などを造営しており、強力な地域政治権力が生まれた。その結果、ヤマト勢力と対立関係にあり『日本書紀』には3種の反乱伝承も記されている。6世紀以降はヤマトの支配下に組み込まれ、律令(りつりょう)体制の確立に伴い備前(びぜん)、備中(びっちゅう)、備後(びんご)、美作(みまさか)の4国に分割された。

吉田 晶]


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山川 日本史小辞典 改訂新版 「吉備国」の解説

吉備国
きびのくに

律令制以前の吉備地方の古称。律令制下の美作・備前・備中・備後4国を包摂する地域で,現在の岡山県と広島県東部にあたる。大伯(おおく)・上道(かみつみち)・三野(みの)・下道(しもつみち)・加夜(かや)・笠臣(かさのおみ)・吉備中県(なかのあがた)・吉備穴・吉備品治(ほんじ)・波久岐(はくぎ)などの国造が知られ,畿内に匹敵する巨大古墳が存在することから,古くから発展し大きな勢力を形成していたと考えられる。7世紀後半には吉備総領・吉備大宰の地方官名が知られ,吉備総領の任命は700年(文武4)までみられる。天武~持統朝頃に吉備国は三分され備前(のち美作が分国)・備中・備後国が成立する。その後も大宝令で筑紫の大宰府以外の大宰・総領が廃止されるまでは,吉備として一括され広域的管轄がなされたと思われる。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「吉備国」の意味・わかりやすい解説

吉備国
きびのくに

奈良時代,備前,備中 (びっちゅう) ,備後 (びんご) ,美作 (みまさか) の4国の総称。現在の岡山県と広島県東部にあたる。「記紀」には孝霊天皇の皇子吉備津彦 (きびつひこ) が四道将軍としてこの地方を平定したとある。古墳の多いことなどから,大和朝廷に対立した出雲国以上の勢力があったことが知られる。

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