道阿弥
どうあみ
(?―1413)
近江猿楽(おうみさるがく)日吉(ひえ)座の役者。通称犬王(いぬおう)。前号犬阿弥。大和(やまと)猿楽の観阿弥(かんあみ)同様、田楽本座(でんがくほんざ)(京都・白川に本拠を置いた座)の一忠(いっちゅう)を師と仰いだ。歌舞に優れ、また物真似(ものまね)にも神経の細かさをみせたが、大衆性を指向しない高雅な芸だったらしい。3代将軍足利義満(あしかがよしみつ)の愛顧を受け、1408年(応永15)の北山邸における後小松(ごこまつ)天皇の天覧能にも出勤。その死去の際には紫雲たなびき花が降ったといい、人格高潔、信仰心も深かったのであろう。
[小林 責]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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道阿弥(1) どうあみ
?-1413 南北朝-室町時代の能役者。
田楽(でんがく)能の一忠の弟子。近江(おうみ)猿楽の日吉(ひえ)(比叡)座に属す。応安6=文中2年(1373)以前から活動。足利義満の愛顧をうけ,応永15年北山第での後小松天皇の天覧能で主役をつとめる。世阿弥(ぜあみ)におおきな影響をあたえた。応永20年5月9日死去。通称は犬王(いぬおう)。法名ははじめ犬阿弥。
出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例
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世界大百科事典(旧版)内の道阿弥の言及
【犬王】より
…[近江猿楽]比叡座の能役者。法名道阿弥陀仏(道阿,道阿弥。初め犬阿弥)。…
【世阿弥】より
…彼は観阿弥とほぼ同世代で,応永(1394‐1428)以前から義満に後援されていたが一時失脚し,1401年ころに復活して世阿弥以上に義満に評価された。義満の法名道義の1字をもらって犬阿弥から道阿弥に改称することを許されたし,08年の後小松天皇北山第(義満別邸)行幸の際も,世阿弥ではなくて犬王の芸が天覧に供されている。歌舞に秀で,幽玄(優美)で情趣あふれる能を得意とした彼の芸風が,公家化の傾向を強めていた晩年の義満の意にかなったのであろう。…
※「道阿弥」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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