適格請求書(読み)てきかくせいきゅうしょ(英語表記)invoice

翻訳|invoice

日本大百科全書(ニッポニカ) 「適格請求書」の意味・わかりやすい解説

適格請求書
てきかくせいきゅうしょ
invoice

商品名やその商品の金額だけでなく、商品ごとの消費税率や消費税額を記した請求書。登録を受けた課税事業者が発行する。消費税率が一律ではなく複数の場合、商品ごとの税率と納めるべき税額を正確に把握する必要があり、これを記録・保存するために使われる。諸外国では、インボイス(税額票)とよばれることが多く、消費税に複数税率を採用しているイギリスドイツフランスなどで幅広く導入されている。日本では、消費税に軽減税率が適用されて複数税率となるため、事業者の準備のため猶予期間を経て、2021年4月から適格請求書を導入する予定である。なお猶予期間中は、請求書に記された軽減税率の適用品目に*などの印をつける「区分記載請求書」を使った簡易方式を認める。

 適格請求書には、取引した商品・サービスごとの税率、税額のほか、事業者名や事業者ごとに割り振られる登録番号が記される。事業者間で商品を売買した場合、売り手事業者は買い手事業者へ適格請求書を発行する義務がある。事業者が発行しなかったり虚偽の内容を記したりした場合には、罰則が科される。2016年(平成28)4月時点で罰則の内容は決まっていない。事業者が消費税を納める場合、買い手(販売先)から受け取った消費税から売り手(仕入先)に払った消費税を差し引くことができる仕入税額控除制度がある。この制度を利用する事業者はすべて、適格請求書を保存する必要がある。ただし、消費税の納税が免除される売上高1000万円以下の零細事業者(免税事業者)は、適格請求書を発行する義務はない。また免税事業者から商品を買った事業者は、適格請求書がなくても、2021年4月から6年間は仕入税額を控除できる特例措置を設ける。

[矢野 武 2016年7月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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