選択規則(読み)せんたくきそく(その他表記)selection rule

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「選択規則」の意味・わかりやすい解説

選択規則
せんたくきそく
selection rule

選択則ともいう。量子力学系が摂動によって遷移するとき,遷移の始めと終りの定常状態を指定する量子数の間に一定の関係がなければ,遷移は起らない。この関係を規定する規則を選択規則といい,遷移確率によって決る。しかし,一般に保存則があれば,それに対応した選択規則が存在する。たとえば電磁波放射吸収の際には,角運動量とパリティ保存則に対応する選択規則が重要である。例をあげると,角運動量の大きさを指定する量子数を J ,磁気量子数を M として,電気双極子放射では ΔJ=0,±1 (ただし J=0 から J=0 への遷移は除く) ,ΔM=0,±1 が成り立つ場合だけ遷移が起りうる。パリティについては,ラポルテの規則がある。素粒子については,ストレンジネスアイソスピンなどに関する選択規則がある。

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法則の辞典 「選択規則」の解説

選択規則【selection rule】

以前は「選択原理」ともいった.原子内の電子の遷移によるスペクトルうちで,実際に出現するものを選択的に規定する法則.量子力学によれば,電気的モーメントに相当する行列成分のうちでゼロでないものを求めることでこの原理が導かれる.

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世界大百科事典(旧版)内の選択規則の言及

【選択則】より

…選択規則ともいう。量子力学において,物理系が一つの状態から他の状態へ遷移を起こすときに,量子数が満たさなければならない条件を表す規則。…

※「選択規則」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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