遺愛(読み)イアイ

デジタル大辞泉 「遺愛」の意味・読み・例文・類語

い‐あい〔ヰ‐〕【遺愛】

死んだ人が、生前に愛用していたもの。「亡父遺愛万年筆

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精選版 日本国語大辞典 「遺愛」の意味・読み・例文・類語

い‐あいヰ‥【遺愛】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 死んだ人が、生前たいせつにしていたもの。
    1. [初出の実例]「齢(よはひ)を促(つづ)むる良木のそれ摧(くだ)けたる歎き 遺愛の甘棠の剪(き)ることなかれといふ謡(うた)〈小野美材〉」(出典和漢朗詠集(1018頃)下)
    2. 「父が遺愛(ヰアイ)の備前兼光の一刀」(出典:不如帰(1898‐99)〈徳富蘆花〉中)
  3. 死んだ人が大切に思いながらこの世に残していった子。
    1. [初出の実例]「吾か胎内マルツラバースの遺胤あり。乃ち養ふて恩人の遺愛となさば、亦心を慰むに足らん」(出典:花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉二七)
  4. 故人がこの世に残した仁愛の風。また、この世に残した功績
    1. [初出の実例]「已有父兄遺愛在、願因積善能治」(出典:菅家文草(900頃)三・路遇白頭翁)
    2. 「人皆柿本の遺愛(イアイ)を恋ふるのみならず、世挙(こぞっ)柳営数奇を感嘆し」(出典:太平記(14C後)四〇)
    3. [その他の文献]〔春秋左伝‐昭公九年〕

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普及版 字通 「遺愛」の読み・字形・画数・意味

【遺愛】い(ゐ)あい

古人の仁愛のなごりのある人。なごり。おしむ。生前に大切にしていた遺品。〔左伝、昭二十年〕子の卒するにび、仲尼之れを聞き、涕を出だして曰く、古の愛なりと。

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