邢台(読み)けいだい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「邢台」の意味・わかりやすい解説

邢台
けいだい / シンタイ

中国、河北(かほく)省南西部の地級市。管轄下に同名の県もある。1953年県の一部より成立した。2市轄区、15県を管轄し、2県級市の管轄代行を行う(2016年時点)。人口772万9000(2014)。太行(たいこう)山脈の東麓から華北(かほく)平原へ移行する地帯にあり、京広線および京広高速鉄道が縦貫し、交通上の要衝。東部は小麦、綿花の畑、西部はクリやカキの果樹園が多い。山地には炭田、鉄鉱山があり、石炭・鉄鋼業や機械工業、紡績工業が発達した。

 春秋戦国時代から華北の中心地の一つとして、殷(いん)の邢都、周の邢国などがあった。漢代に襄国(じょうこく)県、隋(ずい)代に竜岡(りゅうこう)県が置かれ、宋(そう)以後、邢台県となった。明(みん)・清(しん)代に順徳(じゅんとく)府が置かれたことから、俗に順徳ともよぶ。地形的に湧水点にあたるため、百泉とよばれる名泉があり、元代には郭守敬(かくしゅけい)がこれを引いて灌漑(かんがい)水路をつくった。郭氏の墓もここにある。

[秋山元秀・編集部 2017年3月21日]

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改訂新版 世界大百科事典 「邢台」の意味・わかりやすい解説

邢台 (けいだい)
Xíng tái

中国,河北省南西部の商工業都市。人口54万(2000)。太行山脈の東麓に位置する。子牙河上流の肥沃な平原に古くより発達した都市で,周代の邢国の地。前11世紀に周公の子が封ぜられたのを始祖とする。前662年ころ邢国は今の山東省聊城県付近に移ったが,地名はそのまま残った。秦代信都県がおかれ,漢代には襄国県と呼ばれた。のちに後趙をうちたてた石勒は,312年ここを都とした。隋代に竜岡県となり,宋代に邢台県と改められた。1953年県城邢台鎮に市制が施行されたが,県人民政府もここにおかれている。元の郭守敬の墓や北魏の石仏が有名。
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