邯鄲の枕(読み)カンタンノマクラ

デジタル大辞泉 「邯鄲の枕」の意味・読み・例文・類語

邯鄲かんたんまくら

盧生ろせいという青年が、邯鄲で道士呂翁から枕を借りて眠ったところ、富貴を極めた五十余年を送る夢を見たが、目覚めてみると、炊きかけの黄粱こうりょうもまだ炊き上がっていないわずかな時間であったという「枕中記」の故事から》人生栄枯盛衰のはかないことのたとえ。一炊いっすいの夢。盧生の夢。邯鄲の夢。
[類語]人生わずか五十年人生朝露ちょうろの如し浮生ふせい夢の如し命は風前のともしびの如し蜉蝣かげろうの命蜉蝣ふゆう一期いちご夢幻泡影むげんほうよう

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精選版 日本国語大辞典 「邯鄲の枕」の意味・読み・例文・類語

かんたん【邯鄲】 の 枕(まくら)

  1. 貧乏で立身出世を望んでいた盧生という青年が、趙の都、邯鄲で呂翁という仙人から、栄華が意のままになるという枕を借り、うたたねをしたところ、富貴をきわめた五十余年の夢を見たが、覚めてみると炊きかけていた粟(あわ)がまだ煮えないほどの短い間であったという、沈既済撰「枕中記」の故事。また、枕をして眠ること。人の世の栄枯盛衰のはかないことのたとえにもいう。邯鄲の夢。邯鄲夢の枕。
    1. [初出の実例]「那問邯鄲枕事。余詳説而教之」(出典空華日用工夫略集‐至徳元年(1384)一二月一日)
    2. 「かり寝の夢をみるやと、邯鄲の枕に臥にけり」(出典:謡曲・邯鄲(1464頃))

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