日本大百科全書(ニッポニカ) 「都祁」の意味・わかりやすい解説
都祁
つげ
奈良県北東部、山辺郡(やまべぐん)にあった旧村名(都祁村(むら))。現在は奈良市南東部を占める地域で、大和(やまと)高原(笠置(かさぎ)山地)上の農山村。1955年(昭和30)都介野(つげの)、針ヶ別所の2村が合併して都祁村が成立。2005年(平成17)月ヶ瀬村とともに奈良市に編入された。『和名抄(わみょうしょう)』の都介郷の地で、式内社の都祁水分(みくまり)神社(本殿は国指定重要文化財)、都祁山口神社などの古社がある。水田農業のほか大和茶の主産地で、奈良県農業協同組合(JAならけん)の広域茶流通センターがある。中心集落の針は名阪国道、国道25号、369号の交わる交通の要地で針インターチェンジがある。国指定史跡に小治田安万侶(おはりだのやすまろ)墓があり、南部の香酔(こうずい)山(800メートル)の北麓(ほくろく)には吐山(はやま)スズラン群落(国指定天然記念物)や青少年野外活動センターがある。八柱神社(やはしらじんじゃ)の秋祭に、宮座入りした17歳の男子を中心に演じられる語物芸「題目立(だいもくたて)」は国指定重要無形民俗文化財。
[菊地一郎]
都祁村の表記に関して、1991年10月24日、「祁」の字は左部分が「示(祁)」のものから「ネ()」のものへと変更が行なわれた。
[編集部]
『『都介野村史』(1955・都介野村)』▽『『都祁村史』全3巻(2005・都祁村)』