酒さ様皮膚炎(読み)しゅさようひふえん(英語表記)Rosacea-like dermatitis

六訂版 家庭医学大全科 「酒さ様皮膚炎」の解説

酒さ様皮膚炎
しゅさようひふえん
Rosacea-like dermatitis
(皮膚の病気)

どんな病気か

 素因のある人で、顔面副腎皮質(ふくじんひしつ)ステロイド薬を塗った場合に副作用として生じる、酒さに似た病態をいいます。20~50代の女性に多い病気です。

原因は何か

 顔面のほてりや発赤を繰り返しやすい素因のある人が、副腎皮質ステロイドの塗り薬を連用することにより発症します。

症状の現れ方

 副腎皮質ステロイド薬を塗った部位に、毛細血管の拡張、丘疹(きゅうしん)膿疱(のうほう)が現れます。同薬を塗るのをやめると、数日後に紅斑浮腫性(ふしゅせい)腫脹(しゅちょう)が生じます(図36)。かゆみはあっても軽度ですが、強いほてりや灼熱(しゃくねつ)感を伴います。

検査と診断

 副腎皮質ステロイドの塗り薬の使用歴、中止によって増悪することなどから診断されます。アトピー性皮膚炎に伴う場合は、その急性増悪や非ステロイド系消炎薬の塗り薬による接触皮膚炎(ひかり)接触皮膚炎などとの区別が必要です。

治療の方法

 症状の軽快までには通常数カ月かかります。治療のためには副腎皮質ステロイドの塗り薬の中止が不可欠ですが、同薬をやめると症状が一時的にかなり悪化します。症状がひどくなって社会生活に支障を来す場合は、入院が必要になります。

 薬としてはテトラサイクリン系抗菌薬(ミノマイシン、ビブラマイシンなど)の内服が第一選択になります。グリチルリチン(強力ミノファーゲンC)の静脈注射もある程度は有効です。皮膚の表面がつっぱるため、外用薬として10%亜鉛華(あえんか)単軟膏、白色ワセリンなどが用いられます。灼熱感の強い場合はうちわであおいだり、軽く冷やすと症状が和らぎます。

病気に気づいたらどうする

 副腎皮質ステロイドの塗り薬中止後の悪化を最小限にするには、信頼できる皮膚科専門医のもとで治療を受けることが肝要です。

末木 博彦


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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