酢薑(読み)スハジカミ

デジタル大辞泉 「酢薑」の意味・読み・例文・類語

すはじかみ【酢薑】[狂言]

狂言。酢売りとはじかみ売りとが、商人司あきんどづかさ商人の元締め)を決めようとして系図を比べたり、秀句を言い合ったりするが決まらず、一緒に商売をする。

す‐はじかみ【酢×薑】

ショウガ酢漬け
[補説]狂言の曲名別項。→酢薑

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精選版 日本国語大辞典 「酢薑」の意味・読み・例文・類語

す‐はじかみ【酢薑・酢姜・酢辛】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 酢に浸した生薑(しょうが)。生薑の酢漬。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  2. [ 2 ] 狂言。各流。酢売りとはじかみ売りが商人司(あきんどづかさ)を決めようとし、系図を比べるが優劣がつかず、互い商売物によそえて洒落(しゃれ)を言い合うがこれも決まらず、結局いっしょに商売することになる。「天正本狂言」で「酢辛皮(すからかわ)」。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「酢薑」の意味・わかりやすい解説

酢薑
すはじかみ

狂言の曲名。雑狂言藁苞(わらづと)に薑(山椒(さんしょう)または生姜(しょうが)の古名)を入れて売り歩く男と、竹筒に入れた酢を売る男(シテ)が出会い、自分に挨拶(あいさつ)なしには売らせないと互いに言い張り、商人司(あきうどのつかさ)(商人の元締め)になったそれぞれの由緒を披露して争う。薑売りは「からこ天皇の御時」に始まる薑の辛さにちなんだから尽くしで述べ立てると、酢売りは「推古(すいこ)天皇の御時」と尽くしで対抗する。これではらちがあかぬと、都へ上る道すがら「から」と「す」との秀句合戦を繰り広げるが、みごとな洒落(しゃれ)の応酬に意気投合し、笑って別れる。酢と薑の商売物にちなんだことば遊びが小気味よいテンポで繰り広げられ、一服の清涼剤のような狂言に仕上がっている。

[油谷光雄]

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世界大百科事典(旧版)内の酢薑の言及

【酢】より

…室町時代には〈和泉酢(いずみす)〉の名がうたわれていた。《庭訓往来》以下の諸書に見えるもので,狂言《酢薑(すはじかみ)》には和泉酢を売り歩く行商人が登場する。江戸時代に入ると和泉酢のほかにも各地に良質の酢が産出するようになった。…

※「酢薑」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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