日本大百科全書(ニッポニカ) 「酢酸アルミニウム」の意味・わかりやすい解説
酢酸アルミニウム
さくさんあるみにうむ
aluminum acetate
酢酸とアルミニウムがつくる塩。正塩Al(CH3COO)3、分子量204.12のほかに、塩基性塩Al(OH)(CH3COO)2、分子量162(各種の結晶水をもつ)がある。普通、酢酸アルミニウムというと、塩基性酢酸アルミニウムをさすことが多い。市販のものは塩基性のもので、水和物も知られている。やや酢酸臭をもつ白色結晶状粉末。水に難溶。空気中では徐々に酢酸を失って分解する。媒染剤として用いられるほか、繊維の防水・耐水加工用に用いられる。医用としては、湿疹(しっしん)および潰瘍(かいよう)の乾燥剤、消毒剤として用いられたことがある。
正塩は白色無定形粉末。200℃で分解する。水に易溶。湿った空気中では分解しやすい。
[佐藤武雄・廣田 穰]