山川 世界史小辞典 改訂新版 「里老人」の解説
里老人(りろうじん)
明代の里甲制のもとで,秩序維持,民衆教化,軽微な裁判などを任務とした職役。里内の有徳の年長者を任命した。里甲制の施行以前にも,耆宿(きしゅく),耆民などと呼ばれる有徳の年長者を地方行政に参与させていたが,1394年に里老人を全国的に設け,郷村内の裁判権を付与した。98年に太祖(朱元璋(しゅげんしょう))が発布した『教民榜文』(きょうみんぼうぶん)には,里老人の職責を詳述している。その後,里老人はたんなる徭役(ようえき)と化し,代わって明代後半には,調停処理を重視する郷約(きょうやく),保甲が施行された。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報