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郷約 きょうやくXiang-yue; Hsiang-yüeh

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

郷約
きょうやく
Xiang-yue; Hsiang-yüeh

中国で村人行動を規定し,主として道徳的訓育相互扶助とにより村落の平和維持をはかったもの。北宋代,藍田 (らんでん) の呂大鈞が郷里で行なった教化組合に始り,南宋に入り,朱熹 (→朱子 ) の作といわれる「朱子増損呂氏郷約」があらわれ,盛行した。郷約の加盟者を同約,約中などと呼び,約正6人,約副2人が選ばれる。同約は毎月1日に会合し,まず郷約を読唱し,郷約の説明討論を行い,1ヵ月間の同約の行動を批判し,不幸があれば救助の手をさしのべる。明代,王守仁 (→王陽明 ) の南 贛 (かん) 郷約も有名。

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世界大百科事典 第2版の解説

きょうやく【郷約 xiāng yuē】

中国の郷村社会で道徳の実践と相互扶助をはかるために設けた規約。後世その団体をも郷約という。北宋の末,呂大鈞・呂大臨の兄弟がその郷里藍田(陝西)ではじめて行い,〈徳業相勧む。過失相規(ただ)す。礼俗相交わる。患難相恤(あわれ)む〉を四大綱領とし,〈呂氏郷約〉または〈藍田郷約〉とよばれた。その後,南宋の朱熹がこれを補訂して〈朱子増損呂氏郷約〉をつくり大いに普及した。郷約が最も盛んに行われたのは明の中期以後であり,当時解体化の傾向にあった郷村組織を再編成しようとする意味があったであろう。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

郷約
きょうやく

中国の郷村で、秩序維持を目的とし、教化と修養、相互扶助を実践するためにつくられた規約およびその組織。1076年、呂大鈞(りょたいきん)が郷里陝西(せんせい)の藍田(らんでん)で創行(呂氏郷約)、南宋(そう)の朱熹(しゅき)(朱子)が補訂し、朱子学に権威づけられて普及した。郷約は「徳業相い勧む。過失相い規(ただ)す。礼俗相い交(まじわ)る。患難(かんなん)相い恤(めぐ)む」を綱領とし、その実行のため約正、約副を置き、毎月1日に会合して約員の行動を批判反省した。盛んになったのは、里甲(りこう)制が解体し始めた明(みん)代中期以降で、太祖朱元璋(しゅげんしょう)の「六諭(りくゆ)」に基づいて郷村秩序の再建が図られ、保甲組織とともに地方官の重要施策とされた。清(しん)代には聖祖康煕帝(こうきてい)の「聖諭」16条の解説が中心となり、形式化した。[島居一康]

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