郷村(読み)ゴウソン

デジタル大辞泉 「郷村」の意味・読み・例文・類語

ごう‐そん〔ガウ‐〕【郷村】

村里。きょうそん。
中世から近世にかけての村落共同体室町時代農民の自治団結体としてのそうとして成長。その後、近世封建体制のもとで、領主は農民支配の便宜のための行政単位として設定した。

きょう‐そん〔キヤウ‐〕【郷村】

ごうそん(郷村)

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精選版 日本国語大辞典 「郷村」の意味・読み・例文・類語

ごう‐そんガウ‥【郷村】

  1. 〘 名詞 〙
  2. むらざと。いなかの村。さと。きょうそん。
    1. [初出の実例]「郷村咲我巴人曲、慙愧高才往復看」(出典田氏家集(892頃)中・和藤進士客中遇雪見寄)
    2. [その他の文献]〔王維‐同盧拾遺過違給事東山別業詩〕
  3. 室町時代、荘園のなかから、自生的に形成された郷を単位とする村落共同体の名称。東国地方で一般的にみられ、戦国時代以降行政単位の一つとなった。惣村(そうそん)
    1. [初出の実例]「郷村には代官計可置事」(出典:朝倉孝景条々(1471‐81)英林壁書・一四条)

きょう‐そんキャウ‥【郷村】

  1. 〘 名詞 〙ごうそん(郷村)

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日本歴史地名大系 「郷村」の解説

郷村
ごうむら

[現在地名]今治市土橋つちばし町一―二丁目・北鳥生きたとりう町五丁目・郷新屋敷ごうしんやしき町一―四丁目・広紹寺こうじようじ町二丁目・郷本ごうほん町一―二丁目・石橋いしばし町一―二丁目・立花たちばな町一―四丁目・郷六ごうろくうち町一―二丁目・河南かなん町一―三丁目

今治平野の中央部、蒼社そうじや川の南岸に広がる大村。北は鳥生とりう村、東は辻堂つじどう村、南は八町はつちよう村に接する。西北は蒼社川対岸の日吉ひよし村・蔵敷くらしき村である。地味よく水利に恵まれた水田地帯である。開発は古く、全村に条里の遺構を残している。

慶安元年伊予国知行高郷村数帳(一六四八)越智おち郡の項に「郷村 定水所、川有」とみえ、村高は一千一四七石九斗七升一合である。


郷村
ごうむら

[現在地名]新居浜市郷一―五丁目・落神おちがみ町・清住きよずみ町・神郷こうざと一―二丁目・又野またの一―二丁目

新居浜平野の東部、郷山ごうやま丘陵の北麓を南西から北東方向に細長く延びる平地村。「西条誌」は村名の由来について、「伊王の郷の真中なるゆへ本郷と云フ心にて郷村となつく」という説を紹介している。

慶安元年伊予国知行高郷村数帳(一六四八)新居郡の項に「高六百五石六斗九升八合 郷村 日損所、雑木林有」とある。西条藩領。寛文五年(一六六五)の郷村庄屋文書(「西条誌」所収)によれば、村高六七四石五斗余、家数七五であったが、天保一三年(一八四二)には、田畑高八四九石六斗余、家数二六五、人数一千二二六と激増している。

当村の用水は、地形の関係から供給が困難であった。おもな用水源である国領こくりよう川は銅分を含んだ水で、田地が荒れ傷み作物の被害が多い。


郷村
ごうむら

[現在地名]東広島市高屋たかや町郷

白鳥しらとり山の北、宮領みやりよう村の東に位置する。入野にゆうの川が村の北寄りを東流し、白鳥山から北流してこれに注ぐ郷ノ川のほか、北部丘陵から南流する支流などがそれぞれ河谷を形成。村名から「和名抄」所載の賀茂郡高屋郷の中心地であったことが推測されるが、当地には白鳥古墳をはじめ、ほぼ同時代の千人塚せんにんづか古墳など多くの古墳もある。高屋地域での平賀氏の支配が確立する以前は白鳥神社膝下の地としてその影響を強く受けていたと思われ、白鳥山麓字別所べつしよの、かつて阿弥陀堂のあった所が白鳥神社別当寺十楽じゆうらく寺の跡と伝える(芸藩通志)


郷村
ごうむら

[現在地名]久美浜町字郷

佐濃谷さのだに川の支流円頓寺えんどんじ川下流に位置する。東に低い山を背負い、西に平地が広がる。北は竹藤たけふじ村から女布によう村に、南は野中のなか村、山沿いに佐野さの村に通じる。集落の西入口の小字長刀なぎなたに、平地につくられた円墳がある。そこに神社があり、通称ドウガキ様とよぶ。


郷村
ごうむら

[現在地名]網野町字郷

公庄ぐじよう村の西に位置し、北部に天然記念物の郷村断層がある。

郷村を含むこの一帯は、中世には丹後国田数帳にみえる「網野郷」、中世末の丹後国御檀家帳に記す「あみのゝ里」に含まれていたと考えられる。慶長検地郷村帳に七七一・〇三石「郷村」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

普及版 字通 「郷村」の読み・字形・画数・意味

【郷村】きようそん

むら。

字通「郷」の項目を見る

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