野狐(読み)ヤコ

デジタル大辞泉 「野狐」の意味・読み・例文・類語

やこ【野狐】[書名]

田中英光短編小説妻子をもちながら破滅的生活に溺れていく男の姿を描いた私小説的作品。昭和24年(1949)「知識人」誌に発表。同年刊行の作品集「愛と憎しみの傷に」に収録

や‐こ【野×狐】

山野にすむキツネ。のぎつね。
[補説]書名別項。→野狐

の‐ぎつね【野×狐】

野にすむ狐。野生の狐。やこ。

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精選版 日本国語大辞典 「野狐」の意味・読み・例文・類語

や‐こ【野狐】

  1. 〘 名詞 〙 野にすむ狐。のぎつね。特に、禅で、真に深奥に達しないのに、自分でさとったつもりでいる者をいう。野狐禅
    1. [初出の実例]「歌堂舞閣、野狐里、如夢、如泡、雷影賓」(出典:性霊集‐一(835頃)入山興)
    2. 「生涯たた野狐となりて、若干の衆を惑乱すべし」(出典:塩山和泥合水集(1386))

の‐ぎつね【野狐】

  1. 〘 名詞 〙 野にすんでいる狐。野生の狐。野良狐。やこ。〔日葡辞書(1603‐04)〕

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デジタル大辞泉プラス 「野狐」の解説

野狐(やこ)

日本妖怪。狐の憑き物で、九州地方全域に伝承が残る。

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世界大百科事典(旧版)内の野狐の言及

【田中英光】より

…戦後は共産党に入党,沼津地区委員長となるが,1年ほどで離党,《地下室から》(1948)などで,戦後の革命運動を内部から批判的に告発した。48年の太宰治の死に衝撃を受け,そのころから生活は乱脈をきわめるようになるが,みずからの戦中・在朝鮮体験を検証した《酔いどれ船》(1948)や荒廃した生活をみつめた《野狐》(1949)などには,作者の純真無垢な魂が感じられる。49年太宰治の墓前で自殺した。…

※「野狐」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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