野田醬油争議(読み)のだしょうゆそうぎ

改訂新版 世界大百科事典 「野田醬油争議」の意味・わかりやすい解説

野田醬油争議 (のだしょうゆそうぎ)

1927-28年におきた戦前日本最長の労働争議。千葉県野田の野田醬油(従業員約2000人,現キッコーマン)には1921年から日本労働総同盟(総同盟)の組織が作られ,23年,25年に会社へ要求を提出し実現させていた。27年4月,労働者が賃上げを要求すると会社側は組合破壊企図暴力団と町の諸機関を利用して弾圧を加え,9月からストライキに入った労働者1047人を年末に解雇した。労働者はストライキを継続したが協調会調停に入り,28年4月に300人の再雇用と諸手当支給をもって妥結,216日間に及んだストライキは収束し,総同盟関東労働同盟会醸造労組野田支部は壊滅した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の野田醬油争議の言及

【労働争議】より

…企業や国営事業で経営家族主義がとられ,争議を弾圧する一方で福利施設の充実によって従業員の忠誠度を高める政策が始められた。第1次大戦後にも労働争議の大きな波が起こり,とくに1921年の神戸の川崎・三菱神戸造船所争議は空前の規模で行われたが,軍隊の出動で鎮圧され,その後も26年の浜松の日本楽器争議,27年の野田醬油争議などの大規模争議が起きたものの,官憲の介入は激しさを加え,37年には総同盟が〈同盟罷業の絶滅を期す〉と宣言するにいたった。 第2次大戦後,占領軍の民主化政策に従って労働争議を非合法化していた法規や政策が撤廃され,45年の労働組合法,翌年の労働関係調整法の制定によって労働組合の争議権が初めて合法化され,調停・仲裁などの制度や機関も整備された。…

※「野田醬油争議」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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