量子ドット(読み)リョウシドット

デジタル大辞泉 「量子ドット」の意味・読み・例文・類語

りょうし‐ドット〔リヤウシ‐〕【量子ドット】

電子を微小な空間に閉じ込めるために形成した、直径数~数十ナノメートル半導体結晶。量子点量子箱
[補説]電子をその波長とほぼ同じ大きさの空間に注入すると、三次元のどの方向にも自由に移動できないため、特定のエネルギー状態をとる。このエネルギー状態は、量子ドットの大きさを変えることで、ある程度自由に変化させることができるため、蛍光色素発光材料として新しい機能を発現する素材をつくることができる。量子ドットレーザー単電子トランジスター量子ドットディスプレー量子ドット太陽電池などへの応用が進められている。2023年、量子ドットの発見と合成方法の発明により、ムンジ=バウェンディルイスブルース、アレクセイ=エキモフの3人がノーベル化学賞を受賞した。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「量子ドット」の解説

量子ドット
リョウシドット
quantum dot

LSI中の素子寸法が微細になり,電子の挙動が従来の統計力学支配から量子力学的な影響が出てくるようになり,電子を二次元的に閉じ込めた二次元電子ガス状態,一次元に閉じ込めた量子細線状態,さらに,一次元の長さ方向も閉じ込めたものを量子ドットという.閉じ込めにより電子や正孔量子化が生じ,離散的なエネルギー準位となる.微細な構造をつくるためには通常の方法では難しいため,薄膜の成長機構であるStranski-Krastanov型を応用することや,原子間力顕微鏡(AFM)などで基板の表面状態を変化させて格形成位置の制御を行うなどして100 nm 以下の量子ドットを作製する.量子ドットを用いたレーザー発振の高効率化や,量子コンピューターの基本素子となる量子ビットとして,電子スピンを制御することが可能となる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

知恵蔵 「量子ドット」の解説

量子ドット

量子点」のページをご覧ください。

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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