金属主義(読み)きんぞくしゅぎ(その他表記)metallism

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「金属主義」の意味・わかりやすい解説

金属主義
きんぞくしゅぎ
metallism

貨幣とはなにか、という問題を探求する永い歴史のなかで19世紀後半から20世紀前半にかけて主張された貨幣理論で、金属主義と対峙(たいじ)するものに名目主義nominalismがある。金属主義では、「貨幣とは?」の問に対して、貨幣の素材価値、すなわち金属の価値、つまり金や銀の価値に答えを求めたのであった。それに対して名目主義の立場では、貨幣が貨幣であるのは、その機能にあって形態実質ではないと主張した。19世紀初頭から20世紀前半にわたって貨幣に関する議論のなかでいろいろな形で金属主義、名目主義の両者が出没してきた。その後、管理通貨制度が各国蔓延(まんえん)し、国際通貨にもIMF国際通貨基金)体制が出現、さらに電子マネーの時代に突入しようとしている今日では、金属主義は過去のものとして忘却されるかも知れない。しかし今日、アメリカの国内通貨、たとえばドルが国際通貨であることに内在する矛盾がいつの日か爆発したときにふたたび金属主義が顧みられることになるかも知れない。

[石野 典]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「金属主義」の意味・わかりやすい解説

金属主義【きんぞくしゅぎ】

貨幣の本質を貨幣素材の金属に求め,貨幣価値は金属自体の価値に由来し,それによって決定されるとする貨幣学説。貨幣価値の安定を保証するものとして,金本位制度採用を主張する。これに反対して名目主義を唱えたクナップが与えた呼称。→貨幣商品説
→関連項目クニース

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