改訂新版 世界大百科事典 「クナップ」の意味・わかりやすい解説
クナップ
Georg Friedrich Knapp
生没年:1842-1926
ドイツの統計学者,経済史家,貨幣理論家。ギーセンに生まれる。ミュンヘン,ベルリン,ゲッティンゲンの諸大学で学び,1867-74年ライプチヒ大学教授,1874-1919年シュトラスブルク大学教授。はじめ統計学者として,ついでシュトラスブルク大学時代は農業史家として知られ,またこの時期以降,G.シュモラーやL.ブレンターノらとともに新歴史学派の中心人物の一人として活躍した。最大の業績は《貨幣国定学説》(1905)で示された貨幣理論である。彼は〈貨幣は法制の創造物である〉という定式をたて,貨幣が国家の公布によって通用力を与えられた表券的支払手段であるとした。そして,名目価値説の立場から金属主義的貨幣説を批判した。彼の説は〈貨幣指図証券説(貨幣表券説)〉としてF.ベンディクセン,K.エルスターに継承されたが,間接的な影響は広範囲に及んでいる。
執筆者:二階堂 達郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報