金芝河(読み)キムジハ

デジタル大辞泉 「金芝河」の意味・読み・例文・類語

キム‐ジハ【金芝河】

[1941~2022]韓国詩人思想家本名金英一キムヨンイル李承晩イスンマン政権を倒した四月革命に参加し、以降学生運動を主導した。1970年には長編譚詩たんし「五賊」を発表し、反共法違反により投獄される。釈放後は環境運動を展開するなど、詩作以外にも活動を広げた。きんしが。

きん‐しが【金芝河】

キムジハ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「金芝河」の意味・わかりやすい解説

金芝河
きんしが / キムジハ
(1941―2022)

韓国(大韓民国)の詩人。本名は金英一(キムヨンイル)。普通、ハングル(朝鮮文字)で깊지하(Kimjiha)と署名しているので、どの漢字を当てはめれば適当かはさだかでない。金芝夏(キムジハ)、金芝河(キムジハ)は使用例があるようであるが、金地下(キムジハ)の意があるともいえる。1966年ソウル大学美術学科卒業。1970年5月、韓国の進歩的月刊総合雑誌『思想界』に物語詩『五賊』を載せ、財閥、国会議員、高級公務員、将軍、長官次官の五賊が国を滅ぼすと痛烈に風刺した。このため、18年間続いた『思想界』は廃刊され、金芝河も反共法で起訴された。1974年、全国民主青年学生総連盟事件により一審で死刑の判決を受けるが、やがて無期懲役に減刑され、1980年に釈放されるまで獄中にいた(2013年に再審で無罪判決)。何度もの投獄と持病結核に苦しみながら、押さえられた者、持たぬ者の恨(ハン)と怒りの詩と戯曲をしぶとく書き続けた。彼の詩の特徴は笑いと叙情と風刺にあり、そのことばはときに卑語や隠語まで大胆に取り入れ、伝統的形式を踏まえた詩形式と相まって、民衆と詩との距離を縮めた。1970年の第一詩集『黄土』には叙情性が色濃く流れている。次いで1982年に第二詩集『金芝河詩集』が発刊されたが、ただちに発売を禁止された。1990年代に入ってからは東学思想に近い、いわゆる「生命思想」に傾斜して、ラジカルな批判精神は薄らいだ。1998年(平成10)12月に初来日した。

[大村益夫]

『姜舜訳『金芝河詩集』(1974・青木書店)』『李恢成訳『不帰』(1975・中央公論社)』『井手愚樹編・訳『金芝河作品集』(1976・青木書店)』『金芝河刊行委員会訳・編『苦行』(1978・中央公論社)』『高正子(コォ・チォンジャ)訳『金芝河生いのちを語る』(1995・協同図書サービス)』

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改訂新版 世界大百科事典 「金芝河」の意味・わかりやすい解説

金芝河 (きんしが)

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百科事典マイペディア 「金芝河」の意味・わかりやすい解説

金芝河【きんしが】

キム・ジハ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「金芝河」の意味・わかりやすい解説

金芝河
きんしが

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世界大百科事典(旧版)内の金芝河の言及

【キムジハ】より

…韓国の詩人,本名は金英一。日本では金芝河とも記す。全羅南道木浦生れ。…

※「金芝河」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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