針布(読み)しんぷ(英語表記)card clothing

精選版 日本国語大辞典 「針布」の意味・読み・例文・類語

しん‐ぷ【針布】

〘名〙 先の曲がりとがった金属性の針が基布に植えこまれたもの。紡績では繊維のもつれを解き、方向をそろえるために用いる。毛織物綿ネルなどでは起毛に用いる。

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改訂新版 世界大百科事典 「針布」の意味・わかりやすい解説

針布 (しんぷ)
card clothing

紡績機械カードで繊維塊をくしけずり,繊維を平面状に薄くならべたウェッブを作る役割を果たすもので,紡績用のほか,掃除用,タバコ製造用,起毛機用などもある。対向した1対の針布の間で繊維をくしけずり,あるいは高速で走る針布に布を接触させて毛羽をたてる。昔は種々の織物フェルトなどをゴムのりで接着したベルト状の基布に細い針を植えた弾性針布シリンダーなどに巻いて使用したが,現在のカードでは,フラットカードのフラット以外にはあまり使用されていない。最近は,のこ歯状のワイヤをシリンダーなどに巻きつけて使用し,これをメタリックワイヤまたは金属針布と呼んでいる。メタリックワイヤの規格は,針高H,幅W,ピッチT,働き角などによって表示される(図)。弾性針布は基布にU字形のワイヤを植え込み,その先をくの字形に曲げて作られ,その規格は針密度または針の太さで表示される。なお針布は1790年ころ,イギリスのR.アークライトによって発明されたといわれ,1838年にはワルトがフィレット植針機を考案した。
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百科事典マイペディア 「針布」の意味・わかりやすい解説

針布【しんぷ】

厚い丈夫な布またはゴム引布に鋼針を植え付けたもの。梳綿(そめん)機に取り付けて繊維をくしけずり,不純物短繊維を除去し,繊維の方向を引きそろえる。また織り上がった布の起毛にも用いる。
→関連項目カード(機械)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「針布」の意味・わかりやすい解説

針布
しんぷ

紡績工程において、繊維のもつれをほぐし、方向をそろえるため、基布などに梳針(そしん)を植え付けたもの。また毛織物、綿ネルなどの織面をかき立て起毛するときにも使われる。紡績用、起毛用などにより、基布、梳針、植針の密度などに違いがあるが、綿布麻布、紡毛絨(じゅう)などを何枚か重ね、その間に、にかわ、ゴムなどの層を置いて固定したもので、カード機のドラムに巻き付け使用する。

[角山幸洋]

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