紡績機械のカードで繊維塊をくしけずり,繊維を平面状に薄くならべたウェッブを作る役割を果たすもので,紡績用のほか,掃除用,タバコ製造用,起毛機用などもある。対向した1対の針布の間で繊維をくしけずり,あるいは高速で走る針布に布を接触させて毛羽をたてる。昔は種々の織物,フェルトなどをゴムのりで接着したベルト状の基布に細い針を植えた弾性針布をシリンダーなどに巻いて使用したが,現在のカードでは,フラットカードのフラット以外にはあまり使用されていない。最近は,のこ歯状のワイヤをシリンダーなどに巻きつけて使用し,これをメタリックワイヤまたは金属針布と呼んでいる。メタリックワイヤの規格は,針高H,幅W,ピッチT,働き角などによって表示される(図)。弾性針布は基布にU字形のワイヤを植え込み,その先をくの字形に曲げて作られ,その規格は針密度または針の太さで表示される。なお針布は1790年ころ,イギリスのR.アークライトによって発明されたといわれ,1838年にはワルトがフィレット植針機を考案した。
執筆者:近田 淳雄
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