起毛(読み)きもう(英語表記)raising

日本大百科全書(ニッポニカ)「起毛」の解説

起毛
きもう
raising
gigging
napping

織物、あるいはメリヤスの仕上げ方法の一つで、その表面または両面に、組織された繊維をかき出して毛羽を起こし、生地を厚くするとともに、触感を柔らかくし、ときには保温力を増加させる方法。織物組織からみると、緯糸(よこいと)に甘撚(あまよ)りの糸を使い、表面に緯糸を多く出すように織ったのち、毛羽立ちさせるのが普通である。起毛するには、古くはアザミの実(チーゼルともいう)を使い、その刺(とげ)先で織物の表面を何回もこすって毛羽を立てた。

 わが国でも、江戸後期に紀州(和歌山県)で盛んに織られた紋羽(もんぱ)などの綿織物を毛羽立てさせるために、松葉や縫い針を束ねて織物の表面をこすり、起毛する方法がみられた。近代に入って起毛機械は、アザミの実をドラムにはめ込んだあざみ起毛機と、起毛用針金を使った針金起毛機、ナイロンブラシ起毛機などを使っている。そして起毛工程には、乾燥起毛と湿潤起毛の2通りがあるが、湿式は乾式に比して起毛効果がよく、ネルや紡毛織物などに用いられるが、それぞれ目的に応じた適当な方法が使われる。

[角山幸洋]

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精選版 日本国語大辞典「起毛」の解説

き‐もう【起毛】

〘名〙 織物仕上げ工程の一つ。織物の表面、または裏面の毛羽を、起毛機を使ってかき起こすこと。また、その工程を施したもの。
※カポク繊維(1943)〈森田喜三郎〉「起毛の感触も柔かく温かで、誠に好もしいネルであって」

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世界大百科事典 第2版「起毛」の解説

きもう【起毛 raising】

布の表面をひきかいて,毛羽を出す加工。必要に応じて,このあとブラッシングbrushingにより毛羽の方向をそろえたり,シアリングshearing(剪毛)により毛羽の長さをそろえる。フランネルスエードクロス(皮革)が代表的な起毛製品である。起毛により,独特の外観,柔軟・豊満な風合いが得られ,また,保温性を上げたり,糸やの組織を隠し,柄物の輪郭をぼかすなどの効果が得られる。布を柔らかくする目的のため,裏側を起毛することもある。

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