鈴・鐸(読み)すず

精選版 日本国語大辞典 「鈴・鐸」の意味・読み・例文・類語

すず【鈴・鐸】

〘名〙
① 世界的に見られる体鳴楽器の一つ。主に金属製の、裂目のある球形空洞のなかに、銅の球などを入れたもの。振って鳴らす。日本では、神楽(かぐら)能楽などに楽器として用いるほか、神社の社頭につるすもの、参詣人や巡礼のもつもの、装身用のものなど種々ある。
※古事記(712)下「布を白き犬にけ、鈴(すず)を著けて」
梁塵秘抄(1179頃)二「すずは亮振(さやふ)る藤太巫女、目より上にぞすずは振る」
② ①のうち、特に駅使(えきし)しるしとして賜った鈴。駅鈴(えきれい)
万葉(8C後)一八・四一一〇「左夫流児(さぶるこ)が斎きし殿に須受(スズ)掛けぬ駅馬(はゆま)下れり里もとどろに」
※大観本謡曲・須磨源氏(1430頃)「颯々の鈴も駅路の夜は山よりや明けぬらん」
③ (ふつう「鐸」と書く) つりがね形で、中に舌(ぜつ)をつるした鳴り物風鈴などの類。鐸(たく)。れい。
書紀(720)顕宗元年二月(寛文版訓)「是に、老嫗詔を奉りて鐸(スス)を鳴して進む」
④ 西洋音楽の打楽器の一つ。穴のある中空の金属球に小さな金属片がはいっているものと、風鈴状の小さな鐘形のものの二種あり、タンバリンやシズル‐シンバルのように数個の鈴を連ねた楽器もある。ベル。
⑤ 男根の異称
浄瑠璃・菖蒲前操弦(1754)三「アノ鈴は前立じゃ、ほんぼんの鈴戴してやらう程にと仰って」
⑥ 紋所の名。①を図案化したもの。神楽鈴、丸に三つ鈴などがある。
[語誌](1)日本では縄文時代の土製のものがみられるが、青銅の鈴がつくられたのは古墳時代以降である。
(2)令制下の駅制においては、馬に乗る身分証として「駅鈴」が用いられた。寺院の幡(ばん)社寺華鬘(けまん)にもつけられる。神社拝殿の鈴などは、鈴の音に邪気を払い神を招く役割をになわせたものである。

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