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鉄道信号 てつどうしんごうrailroad signal

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

鉄道信号
てつどうしんごう
railroad signal

乗務員,信号係,操車係などに対して列車運転時の諸条件を指示したり,意志を伝達したりする装置のこと。 1825年に,イギリスのストックトンダーリントン間で,汽車の前を馬に乗って赤旗を振りながら走ったのが始りであるといわれる。その後,34年にリバプール・アンド・マンチェスター鉄道で一定の場所に設置して表示する常置信号機が使われ,72年にアメリカの W.ロビンソンがレールを信号制御に利用する方法 (軌道回路) による自動信号を発明し,鉄道信号の画期的発展のもととなった。日本では,明治5 (1872) 年に新橋-横浜間に鉄道が開業したときから腕木式の常置信号機が使われ,1904年には自動信号機が初めて使われた。現在では,情報の伝達手段としては形,色,音,電気などを用い,信号の種類としては信号機,踏切保安装置,軌道回路,閉塞装置,操車場信号などがある。列車ダイヤの過密化,速度の高速化などに伴って,単に人間の視聴覚に依存する信号だけでは列車運行の安全性が確保しにくくなってきており,ATC (自動列車制御装置) ,ATS (自動列車停止装置) ,ATO (自動列車運転装置) ,CTC (列車集中制御装置) など,電気的な情報装置が大幅に取入れられている。

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百科事典マイペディアの解説

鉄道信号【てつどうしんごう】

鉄道で使用する信号,合図標識の総称。JRでは,信号とは列車または車両に運転の条件を指示するもの,合図とは従事員相互間の意志を伝達するもの,標識とは設備の状態を現示するもので,いずれも形,色,音などによるものとしている。
→関連項目信号

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世界大百科事典 第2版の解説

てつどうしんごう【鉄道信号 railway signal】

鉄道において,列車の運転の指示,あるいは従事員間の意図の伝達などに用いられる信号,合図などの総称。日本国有鉄道では,鉄道信号を形,色,音などによって,列車または車両に対し一定区域内を運転するときの条件を指示する〈信号〉,形,色,音などによって,従事員相互間で合図者の意図を相手方に伝える〈合図〉,形,色などによって,設備の状態を現示する〈標識〉の三つに分けている。 本格的な鉄道営業は,1825年イギリスのストックトン~ダーリントン間で蒸気機関車による運行が行われたのに始まる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

鉄道信号
てつどうしんごう

鉄道において、列車、車両を防護し、運行の安全確保を図るために、鉄道線路の一定区域に、列車、車両などが進入することの是非、速度などの条件を知らせるとともに、さらに積極的に輸送能率の向上を目ざすために設けられる信号。鉄道信号は、設備の故障時においても、列車衝突、脱線などの危険側事故が発生しないよう停止信号を現示させるなど、すべて安全側に動作するように設計されている。[北原文夫]

用途別分類

鉄道信号は、用途に応じて、信号、合図、標識に分類される。信号は、色、光、形、音などによって、列車または車両に対し一定区域内を運転するときの条件を指示するもの、合図は、色、光、形、音などによって、合図者の意志を相手方に伝えるもの、標識は、色、光、形、音などによって、設備の状態を表示するものである。
 信号をさらに細分すると、常置信号、臨時信号、手信号、特殊信号に分類される。常置信号は、地上または車内に常置して現示する信号であり、臨時信号は、線路の故障、災害や工事などのときに、当該箇所に臨時に現示する信号であり、手信号は、信号機の設備されていないとき、もしくは使用できない状態のときに、灯や旗によって現示する信号であり、特殊信号は、緊急に列車または車両を止める場合、発光機、火炎または音などで現示する信号である。[北原文夫]
常置信号
設置される場所、使途によって、(1)主信号機、(2)従属信号機、(3)信号付属機に分類される。(1)主信号機 一定の防護区域をもつ信号機で、次のようなものがある。〔1〕場内信号機=停車場の入口に設ける信号機で、停車場内に列車が進入してよいかどうか、また何番線に進入するかを指示する。〔2〕出発信号機=停車場の出発箇所に設ける信号機で、停車場を出発する列車に対して、その信号機の前方区間が開通しているかどうかを指示する。なお、場内および出発信号機は、停車場内の分岐器開通方向、他の列車や車両の位置などを総合的に関連づけて、安全運行を確保するために設けられる連動装置と組み合わされて用いられる。〔3〕閉塞(へいそく)信号機=停車場外の一定の区域に、一列車のみを運転させるために設けられた閉塞区間の入口に設ける信号機で、閉塞区間に列車が進入してよいかどうかを指示する。安全運行を確保するための閉塞装置と組み合わされて用いられる。〔4〕誘導信号機=列車を併結する場合などに用いる信号機で、場内信号機の下側に設け、場内信号機の防護区域に列車または車両があって停止信号を現示しているとき、いったん停止した列車を、場内信号機内方に誘導するために設けられる。〔5〕入換え信号機=停車場内で車両入れ換えをする場合、防護区間に進入してよいかどうかを指示する。(2)従属信号機 主体の信号機の見通しなどの認識距離を補うことを目的に主信号機に従属して設けられるもので、次のようなものがある。〔1〕遠方信号機=場内信号機に従属して、その外方で、主体の場内信号機の信号現示を予告する信号機。〔2〕通過信号機=出発信号機に従属していて、その外方に設けられる信号機で、停車場を通過してよいかどうかの予告指示をするために設けられる。〔3〕中継信号機=場内、出発信号機および閉塞信号機に従属していて、主体の信号機の外方に設けられる。主体の信号機の見通しが悪いときなどに、主体信号現示を中継するために設けられる。(3)信号付属機 主体の信号機の指示する条件を補うもので、次のようなものがある。〔1〕進路表示機=複数進路に対して、場内、出発、または入換え信号機を共用したときに、主体の信号機の下部に設けられる表示機で、その信号機の開通進路を示す。〔2〕進路予告機=場内または出発信号機の外方で、進路の開通方向を予告する必要のあるときに設けられるもので、主体の信号機の外方の信号機の下側に設けられる。[北原文夫]

構造別分類

〔1〕色灯式信号機=赤色、橙黄(とうこう)色、緑色の色灯によって信号を現示するもので、各色の光源を別々にもっている多灯形と、単に1個の光源から赤色、橙黄色、緑色の光を出す単灯形とがある。〔2〕灯列式信号機=白色灯を二灯以上用いて、各灯を結んだ線が水平、斜め45度、垂直になるように点灯して信号を現示する。主として入換え信号機、中継信号機などに用いられている。〔3〕腕木式信号機=腕木として長方形板を柱に取り付け、昼間は腕木の位置、色、形状などによって信号を現示し、夜間は着色した色眼鏡を通した灯光の色によって信号を現示する。[北原文夫]

操作方法別分類

〔1〕手動式信号機=信号扱い者が操作することにより、信号現示を出す信号機。電気で動作するものは電気てこなどにより、機械的にワイヤーなどで操作するものは機械てこで扱われる。〔2〕自動式信号機=軌道回路(2条のレールにより電気回路を構成し、車軸で短絡することによって、列車または車両の有無を検知する装置)を使用して自動的に信号の現示を変化させる信号機で、信号扱い者は不要となる。〔3〕半自動式信号機=自動式信号機と同様に、軌道回路によって自動的に信号機の現示を制御させるとともに、信号扱い者も操作することができる信号機。自動信号区間の場内、出発信号機などが該当する。[北原文夫]

信号の現示方式

信号現示方式には、二位式二現示・三現示、三位式三現示・四現示・五現示がある。二位式は、腕木式の場合は、水平と下向き45度、色灯式の場合は、赤色と緑色、または橙黄色と緑色の二色が使用される。三位式は、色灯式の場合、赤色、橙黄色、緑色の三色が使用される。通常は、各色の単独現示(三現示)が多いが、運転効率を高めるなどのために、橙黄色の二灯使用による警戒信号現示、橙黄色と緑色との二灯使用による減速信号を加えた四現示式、または五現示式が用いられることがある。警戒信号は時速25キロメートル以下、注意信号は時速45キロメートル以下、減速信号は時速65キロメートル以下の速度で、その信号機を越えて進行してよいことを示す。[北原文夫]

地上信号方式と車内信号方式

一般的な信号方式は、線路近傍に信号機構を建植(けんしょく)する地上信号方式であるが、濃霧などの気象条件に左右されやすく、高速運転に際しては乗務員による現示確認が困難となってくる。このため、レールを介するなどして車上へ信号情報を直接伝送する車内信号方式が開発された。本方式は、地上信号方式に比べると高価であるが、最近では、保安度向上のため、自動的に列車速度を制御する自動列車制御装置(ATC)と組み合わせた車内信号方式として、新幹線のほかにも、山手(やまのて)線、京浜東北線、埼京(さいきょう)線などの大都市圏電車、地下鉄などで積極的に採用されてきている。[北原文夫]
『信号保安協会編・刊『鉄道信号発達史』(1970)』

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