鉱山などにおいて鉱石、岩石などの運搬に使用する車両。石炭の運搬に使用するものは炭車ともよばれる。かつては木製のものもあったが、最近ではほとんど鋼製車が用いられている。
鋼製車には丸底鉱車と角底鉱車の別があり、標準容量は丸底1.0~2.5立方メートル、角底0.6~1.0立方メートルであるが、坑内運搬の大量化に伴って2~5トン積みの大型鉱車も使われている。鉱車の車輪、車軸は、玉軸受入れまたはころ軸受入れを用い、連結器はリンク、シャックル付き2連チェーンおよび連結ピンからなる手動式である。
鉱車は数台ないし十数台を連結して機関車または巻上げ機で運搬するので、連結器が外れて事故を起こさないよう、種々の安全装置が考案されている。鉱車への積み込みは人力によるショベリング、コンベヤーまたはホッパーなどによる自動積み込みにより、積み卸しはチップラーによる覆車のほか、鉱車の底面または側面を開くグランビー形またはダンプ形による。台枠と車輪のみからなる鉱車を台車といい、機械、坑木類など特殊物の運搬に用いられる。また、椅子(いす)席を備えた人員輸送専用の車両を人車といい、水平坑道用と斜坑用とがあり、定時運転される。
[房村信雄]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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