鉸具(読み)カコ

デジタル大辞泉 「鉸具」の意味・読み・例文・類語

か‐こ【鉸具】

革帯などの留め金具革緒の端を通す鉸具頭かこがしらというかんと、革緒の穴に通す刺鉄さすがとからなる。帯・甲冑かっちゅうなどに用いる。尾錠びじょう。かく。
馬具部分の名。あぶみの頭頂部の金具で、これを力革ちからがわに留め、鞍と鐙とをつなげる。かく。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「鉸具」の意味・読み・例文・類語

か‐こ【鉸具】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 革帯などをかけてとめる鉤(かぎ)。革緒の端を通す鉸具頭(かこがしら)という鐶と革緒の孔に通す刺金(さすが)という金串(かなぐし)からなる。帯にも甲冑にも鞍にも鐙(あぶみ)にも用いたものの総称尾錠。かく。
    1. 鉸具<b>①</b>
      鉸具
    2. [初出の実例]「鉸具〈略〉腰帯及鞍具、以銅属革也」(出典:十巻本和名抄(934頃)四)
    3. 「なか絶えばかごとや負ふとあやふさにはなだの帯をとりてだに見ず」(出典:源氏物語(1001‐14頃)紅葉賀)
  3. 馬具の部分の名。鐙の頭にある鉄輪の中の細い金具で力革へ差し通し、鐙靼(みずお)に留める。かく。
    1. [初出の実例]「鞍二具料〈略〉(かこ)四具」(出典:延喜式(927)三四)

か‐く【鉸具】

  1. 〘 名詞 〙
  2. かこ(鉸具)
  3. かこ(鉸具)
    1. [初出の実例]「鐙の名所の事。水尾金の下をばかくといふなり」(出典:今川大双紙(15C前)馬に付て式法之事)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「鉸具」の意味・わかりやすい解説

鉸具 (かこ)

帯の留金具の一つ。尾錠(びじよう)ともいう。金具の一端に鉤をつくり,それに帯の端をかける帯鉤(たいこう)のような留め方のものと,帯を金具の裏から抜き出し,帯の中央の穴に金具の棒をさしこんで留めるものとがある。鉸具の名称はこの留金具の総称として使われることもあるが,一般には後者を指す。金属棒を馬蹄形あるいは長方形にまげて,下端に回転自在の横棒をさし,その中央に刺金(さすが)を回転するようにつけたものが通常の形である。これは枠の1ヵ所に小突起をつけ,他方に帯をかける台形の金具をつけた鳥形金具から発達したものである。鳥形金具の起源は前1千年紀初めにカフカス地方にあり,ユーラシア大陸中北部で広く使用された。それが紀元前後の頃に刺金付鉸具に改良されて現在にいたっている。日本に普及したのは5世紀以降である。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の鉸具の言及

【帯金具】より

…【山本 忠尚】
[中国,日本]
 戦国時代から漢代にかけての中国では,匈奴,鮮卑などが盛んに用い,騎馬・褶袴とともに漢人の風俗にとりいれられた。匈奴の鉸具(かこ)はスキタイの形式をとり,一般に左右相似形の透し彫のある長方形を呈し,一方の鉸具につけた鉤を一方の鉸具にあけた孔にとおして固定する帯鉤である。漢王朝は周辺の胡族の王および有力豪族に,馬蹄形の金銀打出し文様のある帯の一端のみに鉸具がつく腰帯を服属の証として賜与した。…

※「鉸具」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android