(読み)あぶみ(英語表記)stirrup

  • ×鐙

翻訳|stirrup

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

馬具の一種 (くら) の両側に吊下げて,乗る人が足を掛けるもの。ヨーロッパではローマ時代,中国では漢代に始る。輪になっていて足を掛けるものと,足の前面を包むようになっていて,足を載せる式のものと2種ある。前者輪鐙といい,鉄製で古今を通じて広く用いられ,日本では古くは上古~平安時代唐鞍 (からくら) に限って用いられた。後者壺鐙といい,日本独自のものらしく,足の前半を踏込むところが壺状になっているのでこの名がある。

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百科事典マイペディアの解説

馬具の一つ。鞍(くら)の両側に下げ,乗り手の足掛りにする。足を掛ける部分が単なる輪になっている輪鐙と,輪の前面に足先を包むおおいのある壺鐙とがある。西洋ではローマ時代,中国では漢代に始まる。日本には高句麗,百済を経て5世紀ころ乗馬の風習とともに伝わり,6―7世紀ころ壺鐙の発生をみた。
→関連項目馬具

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世界大百科事典 第2版の解説

馬に乗る者が足をかけて身体の安定を保つためのもので,〈あしふみ〉からきた名称。足を掛ける部分を輪につくった輪あぶみと,足先の覆いをつけた壺あぶみとがある。輪の上端に方孔かをつくって,革または鐙靼(みずお)をつけ,鐙靼の上端につけてある鉸具かこ)によって鞍の居木にとおした力革(ちからがわ)に掛けてつるす。あぶみの起源伝播がユーラシア大陸における騎馬の起源と伝播から年代的にかなり遅れるため,あぶみの発明をめぐって多くの議論がなされているけれども,はっきりしない点が多い。

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大辞林 第三版の解説

足踏あぶみの意 馬具の一。鞍くらの両脇から馬の脇腹にたらし、乗り手が足を踏みかけるもの。
縄ばしご状の登山用具。足場に乏しい岩壁を登る時に使う。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

馬具の一種。鞍(くら)に付属し、鐙革(あぶみがわ)で馬体の左右の外側につるされ、馬に乗り降りするときや乗馬中に騎手の足の重みを支え、馬上での騎手の動きを容易にするもの。日本語の起源は足踏(あしぶみ)が転化して「あぶみ」となったとされる。鐙を発明したのは乗馬の得意な騎馬民族ではなく、得意でない農耕民族が馬に乗るときの足ふみとしたものが発達して、騎手に都合のよい道具となったものと考えられている。鐙は出土品などからみて、紀元前4世紀のスキタイや前2世紀のインドや中国の漢の時代に存在していたらしい。鐙には種々の形が知られている。世界共通の鐙は輪鐙(わあぶみ)を基本としたものである。最初は革紐(かわひも)や縄が用いられ、のちに木製や金属製になった。わが国には古墳時代に輪鐙が伝来し、5世紀以後には壺鐙(つぼあぶみ)がつくられ、奈良・平安時代には舌長鐙へと発展し、わが国独特の舌のある鐙になって江戸時代に至っている。明治以後は輪鐙の一種である洋鐙が用いられている。[松尾信一]
『日本乗馬協会編『日本馬術史 第3巻』(1940・大日本騎道会/1980・原書房) ▽森浩一編『日本古代文化の探求・馬』(1974・社会思想社) ▽加茂儀一著『騎行・車行の歴史』(1980・法政大学出版局)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (足(あ)で踏むものの意)
① 馬具の名。鞍の両脇に垂れて、乗る時に足を踏みかけ、また、乗馬中に乗り手の足を支えるもの。形状により、各種ある。輪に袋を設けた壺鐙、唐様の輪鐙、壺の下に続けた踏み込みの舌の長いものを舌長、短いものを舌短または半舌という。また、材質や製作地により、木鐙、鉄鐙(かなあぶみ)、七条鐙、上総鐙、那波鐙、武蔵鐙などの名がある。
※万葉(8C後)一七・四〇二四「立山の雪し消らしも延槻の川の渡り瀬安夫美(アブミ)浸かすも」 〔日葡辞書(1603‐04)〕
※雑俳・柳多留‐六六(1814)「鐙にて踏みしめ給ふ天が下」

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