日本大百科全書(ニッポニカ) 「銀河系外天体」の意味・わかりやすい解説
銀河系外天体
ぎんがけいがいてんたい
わが銀河系の外の広大な宇宙空間にある天体の総称。銀河やその集団である銀河団をさす。アンドロメダ銀河やおとめ座銀河団はその代表例。
1920年代初頭までは、渦状(かじょう)銀河や楕円(だえん)銀河の本質がわからず、銀河系や宇宙の概念が不明確であった。1923年、ハッブルはアンドロメダ銀河の距離を測定し、それがわが銀河系(直径約10万光年)の外はるか100万光年以上の遠方にあり、しかもわが銀河系とほぼ同じ大きさの天体であることをつきとめた。宇宙観の拡大である。それによると、宇宙は恒星の大集団である「銀河」を単位として構成されており、わが銀河系は無数にあるそれら銀河の一つにすぎないという。その結果、銀河系の一構成員である太陽系から四方の空間を観察すると、太陽系のすぐ周囲数百光年にある銀河系内の天体(たとえばオリオン座の大星雲やヘラクレス座のM13球状星団)と、数千万、数億光年のはるか遠方にある銀河系外の天体とが見られる。近くの銀河ではその内部の明るい星やガス星雲が一つ一つ分解されて見えるのに対し、大多数の銀河はきわめて遠方にあり、星雲状にしか見えない。
銀河は集団をつくる傾向があり、数十個の集団を銀河群、数百個から数千個の集団を銀河団とよぶ。銀河団はまた数個集まって一つのより大きな集団をつくる傾向があることが最近わかり、超銀河団とよばれている。わが銀河系は、アンドロメダ銀河やマゼラン星雲など数十個の銀河とともに「局部銀河群」とよばれる銀河群の一員である。
[若松謙一]