差渡し数百万光年程度の宇宙空間に,数個から10個程度の明るい銀河が集まって群をなしているもの。写真の上で群をなしていると認められたものについて,スペクトルの観測から赤方偏移を求めて距離を出し,見かけだけでなく空間的にも近いものを選んで,真の構成員を決定する。われわれの太陽系の属する銀河系は,アンドロメダ銀河とともに局部銀河群を構成していて,大小のマゼラン銀河のようなわが銀河系の伴銀河や,M32のようなアンドロメダ銀河の伴銀河を含め,約20個の銀河と群をなしている。その直径は約500万光年に及び,所属の不確かな矮小(わいしよう)銀河の存在を考えに入れると,総数は30個を超えるものと推定される。局部銀河群は,おとめ座銀河団などとともに,超銀河系の一部を構成している。4000万光年以内の近距離には,ちょうこくしつ座の銀河群,M81付近の銀河群,りょうけん座の2個の銀河群などのほか,約10個の銀河群が知られている。銀河群の構成員が相互に及ぼす万有引力と,群の内部での各銀河の空間運動がつり合って,群の形状が保たれていると考えれば,銀河群の総質量を推算できる。このようにして求められる力学的推算質量は,見えている構成銀河の光度から推定される光学的推算質量を,1桁程度上回る。この差が,光学的観測で検出しにくい天体が大量に存在するためか,あるいは力学的推算の過程に問題があるために生ずるかは,まだ明らかでない。個々の銀河の外側に,大量の見えない質量が付随しているとする考え方もある。極端な場合には,星の場合の連星系に相当して,数個の大型銀河が隣接して見られ,〈連銀河系〉としてお互いに直接的に力学的相互作用を及ぼし合っているのが観察される。このような連銀河系では,一般的に各構成銀河内での恒星生成活動が活発化され,渦巻銀河の場合には渦状腕構造が顕著に発達する。群の特殊な形態の一つに,銀河連鎖があって,5個の銀河が直線状に並んだステファンの五つ子Stefan's quintetなどがよく知られている。
執筆者:小平 桂一
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銀河は一般に集団をなして分布する傾向がある。そのうち比較的小規模な、10個ないし50個程度の銀河集団を銀河群とよび、もっと規模の大きい銀河団と区別する。わが銀河系の付近の直径約500万光年の範囲に分布する銀河群を局部銀河群といい、距離が決定されている確実な成員数は約20個、やや不確実な成員まで入れると約30個の集団である。局部銀河群のおもな銀河は、大マゼラン星雲、小マゼラン星雲、アンドロメダ銀河M31、さんかく座銀河M33などであり、一方、直径や質量の小さい矮小銀河(わいしょうぎんが)とよばれる成員も少なくない。この局部銀河群は、わが銀河系の付近と、アンドロメダ銀河付近の、二つの副集団に分けられ、銀河系は大小両マゼラン星雲と、またアンドロメダ銀河は二つの伴銀河と、それぞれ三連銀河をなす。このような段階的集団構造は銀河分布の特徴の一つである。局部銀河群のほかに数十個の銀河群が知られている。
[高瀬文志郎]
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(谷口義明 愛媛大学宇宙進化研究センターセンター長 / 2008年)
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