銀河団より一回り大規模な銀河の集団体系。1950年代初期から提唱されていたその存在は、1970年代末には宇宙全域にみられる一般的構造であることが明らかにされ、超銀河団と名づけられた。身近な例は局部超銀河団で、長径約1億光年の扁平(へんぺい)な円盤形に多くの銀河群や銀河団が集まっている。わが銀河系を含む局部銀河群はこの超銀河団の周辺部に位置しており、その中核部には、おとめ座銀河団が存在する。その後も多数の超銀河団がみいだされる一方、銀河がほとんどない空洞領域(ボイド)の存在も知られるようになり、宇宙の泡モデル(銀河は泡の表面に分布し、泡同士のくっつきあったところが超銀河団、内部の空洞がボイドに相当する)が提唱されている。
[高瀬文志郎]
『小尾信彌著『銀河の科学』(1989・日本放送出版協会)』▽『家正則著『銀河が語る宇宙の進化』(1992・培風館)』▽『ハインツ・R・パージェル著、黒星瑩一訳『星から銀河へ――ハーシェルの庭』(1993・地人書館)』▽『岡村定矩著『銀河系と銀河宇宙』(1999・東京大学出版会)』▽『岡村定矩編『天文学への招待』(2001・朝倉書店)』
銀河団よりもひとまわり大きい集団体系の存在は,1953年すでにド・ボークルールGérard de Vaucouleursによって提唱され,超銀河系と呼ばれてきたが,70年代末になってそれが宇宙全域にわたる一般的構造であることが明らかにされ,名まえも超銀河団となった。ド・ボークルールは比較的明るい銀河の天球分布が,ちょうど恒星の場合の天の川のように帯状の部分に集中していることを見いだし,天の川の類推から,われわれのまわりの近距離銀河が,回転楕円体状の有限な体系を作っているものと考えた。82年タリーRichard Brent Tullyは,約2200個の銀河について,スペクトル線の赤方偏移の値に基づく距離のデータをとりまとめ,これら諸銀河の空間分布から,ド・ボークルールの唱えた超銀河系(タリーの命名では局部超銀河団)の存在を確認し,その三次元構造を明らかにした。図2は彼が得た局部超銀河団の銀河密度分布図で,密度の高い中核部はおとめ座の銀河団であり,この部分に全銀河の20%が集中する。x軸ぞいに長く伸びた部分は立体的には扁平円盤でこの部分に40%,そして残りの20%は中核部から斜めに4方向へ伸びた突起部に分布する。図2のスケールは,ハッブル定数を100km/s・Mpc(Mpcはメガパーセクで,1Mpcは約330万光年)にとった場合の値であり,局部超銀河団の長径は30Mpc,すなわち約1億光年,円盤部のみの短径は5Mpcの程度である。局部超銀河団以外にも,ペルセウス座ほか10個をこえる超銀河団の存在が唱えられている。
執筆者:高瀬 文志郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
…例えばわれわれの銀河系は,アンドロメダ銀河や大小のマゼラン銀河など約20個の銀河で小さな集団をつくっており,おとめ座銀河団はわれわれにもっとも近い大規模な銀河団で約2500個の銀河で構成されている。銀河団の大きさは数百万光年から数千万光年であるが,銀河団より上位の階層として,銀河や銀河団の集団として超銀河団の存在が確かであるらしい。ペルセウス‐うお座超銀河団,やまねこ‐おおぐま座超銀河団などいくつかの超銀河団の存在が提唱されているが,いずれも長さが数億光年の細長いチェーン状をしており,それらが銀河をほとんど含まない空虚な領域を取り囲んで,細胞(セル)あるいはハチの巣構造を示しているらしい。…
…銀河は,明るいものが数個に暗いものがたくさん加わって,銀河群を形成したり,数百から数千の明るいものが集まって銀河団を形成している。さらに,複数の銀河団がその間に帯状に分布する銀河によってつながって,超銀河団を形成している場合もある。稠密(ちゆうみつ)な銀河団の構成銀河には,楕円型やS0型が多く,渦巻型は少ない。…
※「超銀河団」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新