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銀河3号 ぎんがさんごう

知恵蔵の解説

銀河3号

2012年4月13日、北朝鮮が「人工衛星打ち上げ」を名目に発射実験を行った長距離弾道ミサイル。打ち上げから1分20~30秒後、空中で爆発し、実験は失敗に終わっている。多くの破片が黄海(韓国の西沖)の広い範囲に落下したことが確認されており、同日、朝鮮中央通信も「軌道進入に成功しなかった」と伝えた。北朝鮮当局が失敗を公式に認めるのは異例中の異例だが、これまでと違い、多くの海外メディアを招待していたため、隠蔽(いんぺい)するのは困難と判断したものと見られる。
北朝鮮にとって、米国も射程に入る長距離弾道ミサイルは、軍事圧力で相手国に譲歩を迫る「瀬戸際外交」の最大の交渉カードとなる。1980年代に開発を始めて以来、核開発とともに北朝鮮の宿願と言えるが、2006年7月の「テポドン2号」(発射直後に故障)、09年4月の「銀河2号」(軌道投入前に落下)に続く3回連続の失敗となり、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発も中断を余儀なくされる結果になった。ただし、北朝鮮はいずれも軍事目的であることを否定しており、今回の「銀河3号」も、人工衛星「光明星3号」の運搬用ロケットと主張している。
ミサイル発射は金日成(キム・イルソン)生誕100年の祝賀と発足間もない金正恩(キム・ジョンウン)体制の威信強化も兼ねていた。それだけに、実験失敗は、金正日(キム・ジョンイル)の「先軍政治」継承を掲げ、国民に「強い指導者」をアピールする金正恩の船出に大きな打撃となった。指導部の求心力低下に加え、今後の軍の発言力低下を指摘する声もある。
また、米国や周辺諸国の警告を無視しての発射強行は、従来通りとはいえ、北朝鮮の国際的な孤立を更に深めることとなった。発射直後、主要8カ国(G8)の外相が北朝鮮への非難声明を出し、国連安全保障理事会も発射3日後の4月16日、これまでより一歩踏み込み、「制裁強化」を盛り込んだ非難声明を採択している。

(大迫秀樹  フリー編集者 / 2012年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について | 情報

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