長距離競走(読み)チョウキョリキョウソウ(英語表記)long distance race

デジタル大辞泉 「長距離競走」の意味・読み・例文・類語

ちょうきょり‐きょうそう〔チヤウキヨリキヤウソウ〕【長距離競走】

陸上競技で、3000メートル・5000メートル・1万メートルの競走をいう。普通、マラソンは入れない。
[類語]競走レース競歩徒競走障害物競走駅伝競走耐久競走持久走継走リレーレースメドレーリレーマラソンかけくらべかけっこ

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精選版 日本国語大辞典 「長距離競走」の意味・読み・例文・類語

ちょうきょり‐きょうそう チャウキョリキャウソウ【長距離競走】

〘名〙 陸上競技で、三〇〇〇メートル以上の距離の競走のこと。普通行なわれているのは、三〇〇〇メートル、五〇〇〇メートル、一〇〇〇〇メートルの三種目だが、その他一五〇〇〇メートル、二〇キロメートル道路競走、三五キロメートル道路競走、一時間競走などの特殊な競走種目があった。
※万朝報‐明治三七年(1904)二月四日「各艦より五名宛の選手を出して鎮守府海兵団前より会場まで一里十数町の長距離競争を行ひたるが」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「長距離競走」の意味・わかりやすい解説

長距離競走
ちょうきょりきょうそう
long distance race

陸上競技のトラック競走のうち、距離による分類の一つ。オリンピック種目では5000メートル走と1万メートル走がこれに入る。マラソンや競歩、クロスカントリーも距離は長いが、道路や山野を使うところから通常この分類には含まれない。1周400メートルのトラックを所定の距離だけ周回する。5000メートル走も1万メートル走も先頭走者の残り周回が表示され、最後は残り1周の鐘が鳴らされる。

 長距離競走はかつては耐久力があるかどうかが大きな要素であったが、いまではレース途中に何度もスピードアップによる揺さぶりがあり、最後に猛烈なスパートで勝負がつくレースが多くなった。かなりのスピードを保ちながら長時間走り続ける長距離は、普段、高地の薄い酸素のもとで心肺機能を鍛えているケニアエチオピアなど高地出身の選手が圧倒的に強く、オリンピックなどでもつねに上位を占めている。

 練習方法にはスピードと持久力を鍛えるインターバル走やレペティショントレーニング、ゆっくり長く走るロングスローディスタンス(LSD)、一定のペースを維持するペース走、徐々にスピードを上げていくビルドアップ走、試合に近い形式で行うタイムトライアル、高地で心肺機能を高める高地トレーニングなどがある。

 オリンピックでは5000メートル走、1万メートル走ともに男子は1912年ストックホルム大会から正式種目となった。女子の長距離競走の歴史は新しく、オリンピックに女子の陸上競技が採用されたのは1928年のアムステルダム大会からで、そのときの最長種目が800メートル走であった。しかしゴールイン後に全選手が倒れたため、以後「女子の競走は200メートルまで」の時代が30年以上続いた。その後1960年のローマ大会で800メートル走が復活、1984年のロサンゼルス大会で初めて3000メートル走が登場した。続く1988年のソウル大会では1万メートル走が採用され、1996年のアトランタ大会では3000メートル走にかわって5000メートル走がオリンピック種目となった。現在は女子の長距離種目は男子と同数になっている。

 2022年1月時点での世界記録は、5000メートル走男子はジョシュア・チェプテゲイJoshua Kiprui Cheptegei(ウガンダ。1996― )の12分35秒36(2020年)、女子はレテセンベト・ギディLetesenbet Gidey(エチオピア。1998― )の14分06秒62(2021年)。1万メートル走男子はジョシュア・チェプテゲイの26分11秒00(2020年)、女子はレテセンベト・ギディの29分01秒03(2021年)である。

[加藤博夫・中西利夫 2022年2月18日]

パラ陸上(障害者陸上競技)

パラリンピックで長距離種目の正式採用は、ニューヨークと大会発祥の地であるイギリスのストーク・マンデビルで開催された1984年大会からで、男女の車いす5000メートル走などである。1万メートル走は1988年のソウル大会から採用された。視覚障害の全盲クラスでは、競技者がアイマスクなどを着用し、両端に握り用の輪がついた長さ30センチメートル以下のガイドロープ(テザー)を握って伴走者のガイドランナーといっしょに走る。ガイドランナーは2人まで認められ、レース中の交代は1回のみ許される。競技者はタイムや戦況などの情報を耳から得ながらレースを組み立てる。車いすは「レーサー」とよばれる3輪の競技用車いすの開発が記録の向上に大きく貢献し、カーボン繊維製などの構造から軽量化とスピード化に拍車がかかった。2020年東京大会(2021年に延期)では5000メートル走の男子視覚障害2種目と男女の車いすの計4種目が実施された。

[中西利夫 2022年2月18日]

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