江戸時代末期の幕府海軍の主要艦。1866年(慶応2)オランダで建造、翌年3月、留学中の榎本武揚(えのもとたけあき)らが同乗して横浜に回航した。2590排水トンのバルク型3本マストの機帆走木造軍艦で、全長72.8メートル、幅13メートル、400馬力蒸気機関1基、汽走速力10ノット、標準装備大砲26門、乗組員350~500人。当時における世界的な有力艦といわれる。68年1月の鳥羽(とば)・伏見(ふしみ)の戦いののち、前将軍徳川慶喜(よしのぶ)を乗せて大坂から江戸に帰港。同年8月、榎本武揚指揮の旧幕府脱走艦隊の旗艦として箱館(はこだて)に入港、11月、江差(えさし)に停泊中、荒天のため座礁、沈没した。江差町文化センターに開陽丸に関する資料や、引き上げられた遺品が所蔵、展示されている。
[船津 功]
…その後もニシン漁業を背景に経済的発展をみ,〈江差の五月は江戸にもない〉といわれるほどのにぎわいをみせたが,明治以降はニシン場の北上などに伴いしだいにさびれた。箱館戦争の際同港で座礁沈没した旧幕府軍艦開陽丸の遺品などの歴史的資料も多い。【榎森 進】。…
※「開陽丸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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