関中(読み)カンチュウ

デジタル大辞泉 「関中」の意味・読み・例文・類語

かん‐ちゅう〔クワン‐〕【関中】

中国陝西せんせい省中部、渭水いすい盆地一帯の称。函谷関かんこくかんなど、四つの関の中にあったところからの名。自然の要害をなし、長く政治軍事中心となり、秦の都の咸陽、漢・隋・唐の都の長安などが建設された。土地肥沃で、農業発達

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「関中」の意味・読み・例文・類語

かん‐ちゅう クヮン‥【関中】

[一] 中国北部の陝西省渭水盆地一帯の呼び名。函谷関、武関、散関蕭関の四つの関の中に位置するところからいう。中国文明発祥地の一つで、山河の険と地味豊かなため、周の都である鎬京(こうけい)、秦の都である咸陽(かんよう)、漢・隋・唐の都である長安が置かれた。
[二] 中国、陝西省の古名。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「関中」の意味・わかりやすい解説

関中
かんちゅう / コワンチョン

中国、陝西(せんせい/シャンシー)省中央部をさす歴史的地名。元来、戦国時代に秦(しん)の設けた函谷関(かんこくかん)(現河南(かなん/ホーナン)省霊宝(れいほう)県の北東、黄河(こうが/ホワンホー)が峡谷をなす所にあった)より西部をいう。陝西省北部や秦嶺(しんれいチンリン)山脈以南をも含んで用いられたこともあるが、一般には渭河(いが)平原一帯をさし、関中平原ともいう。南北を台地や山地でくぎられ、東西に狭隘(きょうあい)の地をもつ地形は、自然の要害をなし、古代、中世を通じ、中国北部で軍事的、政治的にもっとも重要な地域の一つであった。新石器時代から仰韶(ぎょうしょう)文化が栄え、秦が咸陽(かんようシエンヤン)を国都としてより、歴代の国都のある地域であったため、文化遺跡も非常に多い。黄土に覆われた土地は肥沃(ひよく)で、古くから農業開発が進み、とくに渭河沖積地は灌漑(かんがい)水路も整備され、小麦、綿花を中心とした一大生産地となっている。西安(せいあん/シーアン)市、咸陽市をはじめとした都市も発達し、陝西省でもっとも人口稠密(ちゅうみつ)な地域でもある。

[秋山元秀]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「関中」の意味・わかりやすい解説

関中 (かんちゅう)
Guān zhōng

中国,陝西省の渭河平原のこと。東は函谷関,西は隴(ろう)関までの間,また東は函谷,南は武関,西は散関,北は蕭関に通ずる地域なのでその名が生まれたといわれ,関内というのと同義である。軍事的に要害であるほか,西方はシルクロードにつながり,南は四川に至る交通の要地でもある。秦・漢,隋・唐の国都長安はその中心を占める今日の西安におかれた。秦・漢時代に水利灌漑施設が発達し〈金城千里,天府之国〉と称せられた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「関中」の意味・わかりやすい解説

関中【かんちゅう】

中国,陝西省の西安(かつての長安)を中心とする,東は函谷関,南は武関,西は散関,北は蕭関のいわゆる四関に囲まれる渭水(陝西)盆地をさす。古来,周,秦,漢,唐などはここを中心地とした。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「関中」の解説

関中(かんちゅう)
Guanzhong

中国陝西(せんせい)省の渭水(いすい)盆地一帯を呼ぶ。中原,四川,甘粛と西域の結節点にあたり,中国史上政治,軍事の中心地域としての役割を果たし,周,秦,漢,西魏,北周,隋,唐の都は,みなこの地に置かれた。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

旺文社世界史事典 三訂版 「関中」の解説

関中
かんちゅう

中国北東部,陝西 (せんせい) 省中央部にある渭 (い) 水盆地の呼称
東は函谷 (かんこく) 関,西は隴 (ろう) 関,南は武関,北は蕭 (しよう) 関の4関に囲まれているので,こう呼ばれる。地味も豊かで,西方交通の要地であるため,周の鎬京 (こうけい) (西安),秦の咸陽 (かんよう) ,漢の長安などの都はここに置かれた。

出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「関中」の意味・わかりやすい解説

関中
かんちゅう

ウェイ(渭)河平原」のページをご覧ください。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の関中の言及

【渭水盆地】より

…黄土高原,秦嶺にさえぎられた陥没盆地で,東西300km,南北平均100km。関中,渭河平原ともいう。関中の語は戦国末には使われ,東の函谷関,西の散関,北の蕭関,南の武関に囲まれた地域をさす。…

※「関中」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android