阿部忠秋(読み)アベタダアキ

関連語 藤井

日本大百科全書(ニッポニカ) 「阿部忠秋」の意味・わかりやすい解説

阿部忠秋
あべただあき
(1602―1675)

江戸前期、徳川3代将軍家光(いえみつ)、4代将軍家綱(いえつな)時代の老中。武蔵(むさし)国忍(おし)城主(8万石)。酒井忠勝(ただかつ)、松平信綱、酒井忠清らとともに将軍政治の基礎固めをした重要人物の一人。譜代(ふだい)の臣徒頭(かちがしら)(のち大番頭)阿部忠吉(ただよし)の次男として江戸に生まれる。通称小平次(こへいじ)。従(じゅ)五位下・豊後守(ぶんごのかみ)、のちに従四位下、侍従に昇る。1611年(慶長16)9歳で世子(せいし)家光の小姓(こしょう)として近侍、家光が将軍となると禄(ろく)を増され、1632年(寛永9)大御所秀忠(ひでただ)没後には、信綱、堀田正盛らとともに老中に次ぐ「六人衆」の一人として登用され、まもなく老中に加えられ幕政に参画した。家光没後は幼将軍家綱を助け、幕府機構の整備に努めた。その篤実、朴訥(ぼくとつ)な人柄は世人に敬愛された。数十人の捨子を育てたことなどは、その人柄を示している。

[林 亮勝]

『林亮勝著「松平信綱と阿部忠秋」(『大名列伝』所収・1967・人物往来社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「阿部忠秋」の意味・わかりやすい解説

阿部忠秋 (あべただあき)
生没年:1602-75(慶長7-延宝3)

江戸前期の譜代大名。老中。武蔵忍藩主。徳川家光の小姓,小姓組番頭となり,1624年(寛永1)遺領を継ぐ。33年松平信綱らとともに六人衆の一人となり,同年老中,35年加判の列に加えられ,下野壬生2万5000石を領した。39年武蔵忍5万石に転封。その後もたびたび加増され8万石を領した。66年(寛文6)老中を辞し,71年隠居。家光・家綱期の幕政に深く参与した。
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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「阿部忠秋」の解説

阿部忠秋 あべ-ただあき

1602-1675 江戸時代前期の大名
慶長7年7月19日生まれ。阿部忠吉(ただよし)の長男。徳川家光に小姓としてつかえ,寛永10年松平信綱らとともに六人衆(若年寄)となり,幕政に参与,12年老中。同年下野(しもつけ)(栃木県)壬生(みぶ)藩主,16年武蔵(むさし)忍(おし)藩(埼玉県)藩主阿部家初代となる。8万石。延宝3年5月3日死去。74歳。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「阿部忠秋」の意味・わかりやすい解説

阿部忠秋
あべただあき

[生]慶長7(1602).江戸
[没]延宝3(1675).5.3. 江戸
江戸時代初期の大名。慶安4 (1651) 年老中となり,幕政に重きをなし,3,4代将軍を補佐した。

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367日誕生日大事典 「阿部忠秋」の解説

阿部忠秋 (あべただあき)

生年月日:1602年7月19日
江戸時代前期の大名
1675年没

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世界大百科事典(旧版)内の阿部忠秋の言及

【忍藩】より

…33年代官で忍城番も務めた大河内久綱の子で老中の松平信綱が3万石で入封し民政の充実に尽くした。信綱は39年島原の乱鎮圧の功により6万石で川越城に転じ,同年老中阿部忠秋が下野国壬生(みぶ)城から5万石で入封,家光・家綱に仕えて加増され8万石となった。71年(寛文11)養子正能は実父の遺領1万石を上総国で加増され9万石を領し老中も務めた。…

【譜代大名】より

…そのため,外様大名に比較して転封(国替)が著しく,しかもその所領は天領や旗本領との間に統廃合,切替えが行われたため,著しく分散知行化(非領国型)するに至った。例えば1664年(寛文4)武蔵忍(おし)藩の所領は,老中阿部忠秋の所領であったが,その所領高8万石は,武蔵のうち埼玉(35ヵ村),大里(31ヵ村),秩父(27ヵ村),足立(13ヵ村),幡羅(2ヵ村),男衾(9ヵ村)の6郡のほか相模三浦郡(8ヵ村),上野新田郡(7ヵ村)に存在した。幕府は親藩とともに譜代大名といえども,世嗣断絶ないし幕法違反の場合は改易し,幕藩体制の維持につとめた。…

※「阿部忠秋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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