近世初期の譜代大名(1587-1662・天正15-寛文2)。老中,ついで大老となる。寛永~寛文期,第3代将軍徳川家光,第4代家綱の時代の幕閣構成員の指導的政治家の一人。重忠の弟忠利の子として三河国西尾に生まれた。母は鈴木重直の女。号空印。父とともに秀忠に仕え,1600年(慶長5)上田攻めに従う。09年従五位下讃岐守。14年11月下総国で3000石。20年(元和6)家光に付属され,22年7000石を加増されて武蔵国深谷城に住する。24年(寛永1)2万石加増,老中となる。27年父川越城主忠利の遺領を継ぎ,すべてで8万石を領し,川越城に移り住む。32年2万石加増,従四位下侍従に昇進。34年若狭国小浜に転封,11万3500石余を領する。36年1万石加増。38年土井利勝とともに老中の職を解かれ,朔望(1日と15日)にだけ登城し,〈大事〉なことだけ協議にあずかることになった。当時は大年寄などと呼ばれていたが,これが大老の起源である。51年(慶安4)家光の遺命で家綱の補佐役となる。56年(明暦2)職を辞したが,事にあたってはよく登城し,幕政に大きな影響力を行使した。
なお,近世初期に同姓同名の譜代大名(1594-1647・文禄3-正保4)がいる。家次の子。1609年(慶長14)従五位下宮内大輔に叙任。18年(元和4)遺領を継ぎ,翌年松代に転封。22年出羽国庄内に移され,鶴岡を居城とした。32年加藤忠広を預けられ,14万石余に加封された。
執筆者:所 理喜夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
江戸前期の譜代(ふだい)大名。3代将軍徳川家光(いえみつ)、4代将軍家綱(いえつな)時代の老中。雅楽助(うたのすけ)酒井氏の分家備後守(びんごのかみ)忠利(ただとし)の長子として三河(みかわ)(愛知県)西尾に生まれる。1620年(元和6)2代将軍秀忠(ひでただ)の世子(せいし)家光に付けられ、22年加増されて武蔵(むさし)深谷(ふかや)(埼玉県)1万石の城主となる(のち5万石)。家光が将軍となった翌年、24年(寛永1)には老中に登用された。27年父の遺領を相続し、武蔵川越(かわごえ)城主となった(8万石、のち10万石)。34年若狭(わかさ)(福井県)小浜(おばま)に転じ加増されて11万3000石余を領するに至った。官位も従(じゅ)四位上、少将に進む。家光時代後半から4代将軍家綱時代前半にかけて老中の中心としてよく将軍を補佐し、将軍政治の確立とその発展に努めた。藩政についてもよく心を用いている。性格は謹直で教養も豊かだった。晩年、空印(くういん)と号した。
[林 亮勝]
『村上直著「酒井忠勝」(『大名列伝 6』所収・1967・人物往来社)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
(しらが康義)
(小柴良介)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
…高次は,守護武田氏以来の後瀬山城を小浜(雲浜)に移し,小浜城下の町割りを行った。京極氏による若狭支配は2代で終わり,34年忠高は出雲松江に転封,そのあとへ老中の要職にあった酒井忠勝が武蔵川越10万石から,京極氏の所領をそのまま受け継ぐかたちで入部した。翌々年,忠勝は在府料として下野国安蘇・都賀両郡内で1万石を加増されるが,この所領は忠直のとき,下野国安蘇郡と安房国平郡内に移された。…
…武蔵国(埼玉県)入間郡川越に藩庁を置いた譜代中藩。ただし後期の松平家は越前家分家の親藩。江戸に近い番城として老中などの重臣が配置された。1590年(天正18)酒井重忠が川越城1万石を領したのが藩の起りである。重忠は城下町の諸役を免除し商人の集住を図ったが,1601年(慶長6)上野国厩橋(まやばし)に移った。09年弟忠利が2万石で入封,検地を実施し,仙波喜多院を復興,三芳野天神社を建立した。忠利没後,嫡男の武蔵国深谷城主で老中忠勝が遺領を合わせ8万石で襲封した。…
…官位は四位少将ないし三位中将で老中よりも高く,老中と同道のときは1,2歩先を歩き,江戸城内では総下座の礼を受けた。 3代将軍家光のとき,1638年(寛永15),酒井忠勝,土井利勝が任じられたのが最初とされるが,家康の将軍就任以前では,石川数正,酒井忠次,井伊直政など軍事的に有能な大身の武将が徳川家の宿老として内外から重視されていた。家康が将軍となりその政治的権威が高まると,本多正信・正純父子などの側近が武将派を押さえて家老と呼ばれるようになった。…
※「酒井忠勝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新