割り算のこと。2数a、bが与えられたとき、aがbの何倍であるかを求めるとき、および、aがある数のb倍にあたるときの、もとのある数を求めるとき、の両方の場合に除法(a÷b)が用いられる。前者は、aの中にbが何回含まれるかの数を求めること(包含除という)を拡張したものであり、後者は、bが整数のときはaをb等分した一つ分を求めること(等分除という)を拡張したものといえる。なお、包含除は、aからbを繰り返して引いていき、引きうる最大回数を求めることと一致する。除法では、0で割ることはできない。a÷bで、aを被除数、bを除数といい、除法の結果として得られる数を商という。この商をcとすると、a÷b=cである。このときb×c=aが成り立つ。つまり、除法と乗法とは、互いに逆の計算ということができる。たとえば、20÷5=4であるが、このとき5×4=20となる。また、23÷5=23/5であるが、このとき5×(23/5)=23となる。
整数の範囲だけで除法を考えるとき、23÷5のように、a÷bで、a=b×cとなる整数cが存在しないことがある。このときは、a=b×q+r(0≦r<b)となる整数qとrを定めることができる。このqを商(前の商と区別するときは整商)、rを余りという。23÷5では、23=5×4+3から、商は4、余りは3である。たとえば、1296÷48の商を求めるには、まず被除数の上3桁(けた)129をとり、これが除数48の2倍と3倍の間にあることをみつけ、商の十の位2を定める。次に、129-48×2=33を求め、これと被除数の一の位の数6から、336÷48を計算して7を得る。これが商の一の位の数である。このようにして、1296÷48=27が求められる。
分数どうしの除法では、ある数aで割るかわりに、aの逆数を掛ければよい。aの逆数は、2/5に対して5/2のように、aとの積が1になるような数である。したがって、たとえば
無理数を含む場合の除法は、その無理数に収束する有理数列をとり、それらの各項の商がつくる有理数列の極限値をとればよい。とくに、累乗根については、a>0, b>0のとき、
が成り立つ。
複素数についても除法が定められる。
ここで、i=である。文字式でも除法が定められる。単項式では、数どうしの商に、文字どうしの商を掛け合わせればよい。同じ文字どうしの商am÷anは、m>nのときam-nで、m=nのとき1、m<nのとき1/an-mとなる。文字が一つの多項式A、Bについては、A÷B=A/Bのように、商として分数式が得られる。また、多項式の範囲だけで考えるときは、A=BQ+R(RはBより次数が低い)となる多項式Q、Rが定まる。このとき、Qを商(前の商と区別するとき整商)、Rを余りという。
[三輪辰郎]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…分数の間では,次のような演算ができる。この和,差,積,商を得る4種類の基本的演算,加法,減法,乗法,除法を四則演算という。ただし,除法では0で割ることは考えない。…
※「除法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新