ふき掃除などに使う布。〈雑布〉とも書く。約30cm四方の木綿布を数枚重ねて刺子(さしこ)にしたものが代表的だが,このような雑巾が使われだすのは江戸時代中ごろからである。鎌倉時代ごろまではおもに棒雑巾が使われていた。長柄の先につけた30cmほどの横木に長さ50cmくらいの布をとりつけたものだが,これを当時何とよんでいたかは不明である。中国語では墩布(とんぷ)という。〈ぞうきん〉という言葉は室町あたりから出てくるが,これは禅林でいう〈浄巾〉のなまったものと思われる。浄巾は元来ずきんのことだが,ハンカチ,手ぬぐいのように身につけるものをも意味していた。一方,手足などをふく手ぬぐいも古くから用いられていた。室町後期から板敷きに畳が敷きつめられるなど住生活の変化にともない,棒雑巾にかわって手でふくほうが多くなり,本来の手ぬぐいと区別するために浄巾の語が当てられたと思われる。水ぶきには水,大豆のゆで汁,米のとぎ汁などを使い,空ぶきは乾いた布でちりを払うほか,袋の中にぬかやおからを入れて床板などをこすってつやを出す。
執筆者:小泉 和子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…掃除が日常語になったのは比較的新しいことらしい。掃除用具には,ほうき,ちりとり,はたき,雑巾などがある。このうち,ほうき,ちりとりは古くから使われたが,はたきは江戸時代になってからである。…
※「雑巾」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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